海津ほろよい日記
湖畔の酒蔵 ほろよい社長の日常

2003年07月16日(水) ナットー

7時起床。7月なのに夜は寒いくらいで体調がよくありません。
体の節々がすこしダルイ日が続いています(呑みすぎでは断じてありません)。

朝食のおかずは納豆。仕込みのシーズンには決して食べませんが、ほろよいの好物であります。

もちろん「匂い控えめ」ではなく、昔からのオーソドックスなタイプの納豆に(それでも昔に比べると匂いがソフトになったような)、生卵とネギをいれクネクネかきまぜて、アツアツのごはんにかけてかきこみます。その後、これまたアツアツの味噌汁をすすり、漬物をポリポリ。

「あーー日本に生まれてよかったあ」。

しかしながら、日本酒の仕込みに発酵食品は御法度です。酒蔵見学においでになる折も、当日の朝ご飯くらいは、納豆やヨーグルトを食べないことがマナーといえましょう(内緒で食べてきたことがバレたら杜氏さんや、蔵元さんに殴られてもしかたないくらいのルール違反です)。

納豆は枯草菌という強力な菌を利用した発酵食品で、茹でた大豆を藁で作った入れ物に入れて発酵させたものです(枯草菌というくらいなので、乾燥した藁には普通に存在する菌です)。

これが大豆に取り付いて繁殖し、大豆の味を良くし、ネバネバした糸をつくるのですが、これがまた繁殖力旺盛なのです。納豆を食べてきた人が、蔵の中でお喋りをすると飛沫感染で、仕込蔵のあちこちに枯草菌が飛び散ります。

これが麹担当の蔵人さんの服につこうものなら、枯草菌は麹室に侵入し、30度強という室温で繁殖を開始、麹カビを繁殖させて麹を作るところが、お米の納豆ができてしまいます。これを「ぬるり麹」と呼び、酒造りには使えない代物になってしまいます。いったん麹室全体に枯草菌が繁殖してしまうと、何度も何度も消毒しないと元通りにならないくらいの甚大な被害を受けます。

ヨーグルトの場合は、ヨーグルトの種菌である乳酸菌が、食べた人の口から、飛抹感染で酒母に落ちると、そこで繁殖を開始し、これまた酒母の正常な育成が阻害されてしまいます。

蔵見学などで、麹室や酒母室をお見せできないのはこういう理由があるからなのです(ほかのお蔵で麹や酒母を間近でみせてもらえる機会があるとすれば、破格の好意で見せていただいていると御理解ください)。
















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