「ほろよいが二日酔いでない日はあっても、雨の降らない日はない」状態がここ1週間ほど続きました。
造り酒屋というのは、超大型プラント産業であるビール業界には比肩するべくもありませんが、江戸時代の国内産業の中では、そこそこの設備産業でありました。
今でも地方へ行くと、大きなレンガ煙突や、仕込蔵の大屋根が何棟もある酒蔵をみることができます。
最近はどのお蔵も、そういった昔の蔵が老朽化し、梅雨時の雨漏りに悩まされているお蔵もけっこうあります。なんせ、通常の日本家屋の何倍もの面積を持つ大屋根の蔵が何棟もあるのです。一気に全部葺き替えようとすれば何百万どころか、下手をすると千万を超す経費がかかることになります。
今年はあの屋根、2年後に向こうの屋根と、計画的に少しづつ直していかないと、日本酒不振のこの時代、財政がたちゆきません。
しかしながら今年はよく振る梅雨です。
すでに夏野菜の出来がよくないのではという噂がとびかっています。とくに露地ものの野菜は立ち腐れが発生しているようです。夏野菜の不出来は、奈良漬粕の出荷にモロに影響を及ぼします。
稲の方も、この長雨でイモチ病が発生するのではと各地で危惧されています。これまた、お米の出来がよくないと今年の仕込みが思いやられます。
ほどほどに日が照り、ほどほどに雨が降り、時がくれば寒くなる……。 この稼業、そういう自然な季節の移り変わりに支えられて成り立っているのだと思います。
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