アナウンサー日記
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2003年10月02日(木) |
講演会「イスラムと現代の戦争」に行ってきた3 |
アメリカはイラク戦争で使った劣化ウラン弾による「放射能汚染」を否定している。しかしこれまで常岡さんが歩いた他の紛争地域では、子供たちのガンや白血病が激増していたケースが目立つ。いずれも劣化ウラン弾が使用された地域だったということだ。 そうした地域の人々に常岡さんが長崎出身であることを告げると、「原爆の長崎か!だから君はここに取材しに来たんだな」と皆一様に納得し、仲間として迎えてくれるのだそうだ。 だが「現代の被爆地」の彼らは、「核兵器をこの世から無くそう!」とは決して言わない。「俺たちも核を持っていれば攻撃されずに済むのに」と考えている。 常岡さんは紛争地域に取材に出かけるようになってから、自分が長崎出身であることを強く意識するようになったと言う。
「注目されている戦争は早く終わる」というのが、常岡さんの考え方だ。
常岡さんいわく、イラク戦争が早く終結したのは「石油の利権がからみ世界中が注目したから」だ。その一方で、ここ数年で350万人(!)が死んでいるコンゴや、悲惨な紛争が続いているチェチェンの現状はほとんど報じられないし、したがって戦争も終わらない。
だから常岡さんは「誰も行かない紛争の地に自分が行って、報道するしかない」と思っている。
今回、会場の長崎ブリックホール国際会議場には大勢の聴衆が訪れた。年齢層は高校生から年配の方まで様々。あらかじめ用意された300席では足りず、実行委員会の皆さんが追加の椅子を出す盛況ぶりであった。実を言うと集客には内心心配していたのだが、まったくの杞憂だった。「自分達とは直接関係のない他国の戦争」に関心を持つ人が長崎市に300人以上もいるのを見て、ホッとする思いだった。
常岡さんは今年中に、紛争の続くチェチェンへ再び向かうそうだ。どうかまた、無事で帰ってきてほしい。
NBCを卒業した常岡さんも頑張っている。自分も頑張らなければ・・・としみじみと考えさせられた秋の夜であった。
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