切れ端。

2004年10月07日(木) 親子の記憶。

父はもともと体が弱かった。
僕が小さい時、心臓の手術をして
その後、何度も入退院を繰り返していた。

だから父親ではあるが、歳の離れた友達のようでもあった。
喧嘩も度々したが、それでも仲は良かった。

病院に運ばれたあの日も、気分が悪いと言い
部内にある休憩室で父は少し休んでから病院へ運ばれた。

会社の近くの病院到着後、父は吐血し
大きな病院に搬送されたが意識はなかった。

僕が最初に病院に着いた。
家族はまだ到着していなかった。
横たわる父は、生きているようには見えなかった。
膝が笑い、立っているのも難しかった。
どうしようもない絶望感と最悪のシナリオの予感。

家族が遅れて到着。
そして数分後、心臓停止。
泣きながら、叫び続けた。

10分後、蘇生。

その晩、奇跡的に意識が戻り、父と握手をした。
蘇生した人間とは思えないほど力強く
父は僕の手を握った。短いようで長い間。

父は、全てわかっていたのかもしれない。

その後の面会は、薬で眠らされたまま。
反応も皆無に等しく、一言も交わさぬまま父は帰らぬ人になった。
父親の死んだ日、空は青かった。
葬式も、火葬された時も空は青かった。

あれから1年以上経過。
何一つ忘れることはない。

ただ、自分の誕生日に親父が唄う調子はずれの
「Happy Birthday]の歌が聞きたくてたまらない。


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shinsuke [MAIL]