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2003年05月26日(月) リリカルな情景。

 先週末借りた、金城武主演のビデオ、「アンナ・マデリーナ」ですが、
想像以上に面白かった。久々にホロリときた。


 金城武演じるガーフは、大人しくて冴えないピアノの調律師。
ひょんなきっかけから知り合い、ガーフの家へ転がり込んできた、
モテモテ駄目男・モッヤンは、小説家志望。

 自分の魅力にも才能にも自信たっぷりなモッヤン。でも彼の小説は
空白のまま、まだなにも書かれていない。
無限に広がる自分の可能性という才能が、ただの幻想だと知りたくないから。

 ある日、彼らの住む部屋の上階に、勝気で美しい、ケリー・チャン演じる、
モク・マンイーが引っ越してくる。
毎日下手な「アンナ・マデリーナ」をピアノで弾く彼女に、ガーフは憧れ、
モッヤンは最初反発しながらも、次第と惹かれあっていく。

 引っ込み思案なガーフは、彼女へ伝えることが出来ない想いを
小説にする。自由で無邪気な、2人の男女、○と×の物語。
現実では叶えられなかった、モクとの恋愛、自由奔放な自分を、夢のような
御伽噺の中で描いていく。


 ガーフの描く、お世辞にも上手いと言えない、朴訥とした拙い物語は、
しかし余計な装飾がない分、誰もが持っている、恋する甘く切ない気持ちを
普遍的に表しているのですよ。

 小説の中、主人公の○と×は、亡霊に頼まれて、かつて彼が愛していた
モク・マンイーへ、「愛しているよ」という伝言を伝えなければ
いけなくなる。

 散々探して、やっと見つけた彼女は、既に亡き人。
しかし、彼女もまた、かつて愛した恋人の伝言に、答えを用意していた。

「ずっと前から判ってたわ。」


 想像通りで、なんの捻りもない、少女漫画のような、甘々でお約束
の展開なんですが、グッときた。
 

 誰にも、この世界のどこかに運命の人がいて、だけど、必ずその相手と
巡りあえるとは限らないし、巡り合えても、満足するような結果は
得られないかもしれない。それでも、恋をするのは素敵だ。

 誰もが心のどこかで知っていながら、素面で言ったら、こっ恥ずかしいこと
この上ない真理でも、こうもストレートに表現されると、思わず頷いちゃうわ。

 リリカルって、こういうことを指すのね、という、お手本のような映画でした。


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まめ。 [HOMEPAGE]