怖い夢を、みた。
夢の中で、私はバスに乗っている。 きれいに整備されたばかりの、真新しい道路。 緩やかなカーブを描く上り坂を、バスが進んでいく。
降りる予定のバス停を乗り過ごし、次のバス停で下車。 誰かと待ち合わせをしていて、時間に遅れそうだったので、 バス停の脇に停めてあった自転車を拝借して、 たった今バスで上ってきた坂道を、自転車で下っていく。
坂道の緩いカーブに差し掛かったとき、曲がりきった向こう、 道路脇の土手に、なにか白い物体が散らばっていることに気がついた。 なんだろう、と加速がついた自転車で徐々に近づきながら目を凝らす。
白い物体は、若い女の死体だった。 バラバラに切断された身体の部位が、無造作に散らばり、 付近の道路にも、体液なのか内臓なのか、ドロドロとした ものが飛び散って、甘酸っぱいような、独特な臭気を放っている。
不思議なことに、死体に血は流れておらず、切断部に 鮮やかなオレンジがかった黄色の脂肪が覗いている程度で、 白くぬらぬらとした肌が、薄曇の弱い光を跳ね返している。
横を通り過ぎる時、中央の丸い塊が目に付いた。
それは、濡れた長い黒髪を乱した、女の頭部だった。 大きな白目のない瞳は開かれたまま。そして。
すれ違いざま、目があった。女は微笑んでいた。
上手く表情を操ることができないのか、引きつった ぎこちない、不気味な笑顔。
聞こえるはずのない、壊れたようなヒステリックな笑い声が 確かに聴こえた気がして、その声から逃げるように、 必死で自転車を漕いだ。
…というところで目が覚めたのですよ。 昨日の夜、京極を読んだのがいけなかったのかしら。 影響されやすいからなあ。
ちょっと怪奇小説テイストな拙文でお送りしてみました。
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