| 2003年12月01日(月) |
長い国境のトンネルを抜けると。 |
昨日の夜、NHKのアーカイブスを 途中から見てたんですが。(結構好きなの)
川端康成がノーベル文学賞を受賞した時の モノクロのインタビュー番組だったんですけどね。
NHKのアナウンサーらしき男性と、川端康成、 そして何故か、私の愛する三島由紀夫の3ショットなのね。
三島もノーベル文学賞候補に挙がっていたし、 その関係なのかもしれないですけど、ちょっと意外な組み合せ。 お家の庭(川端邸かしら)に椅子を出して、野外の寛いだ 雰囲気でのインタビューでした。
受賞から2・3日後のインタビューだったようだけど、 取材が殺到していたようで、川端サンはちょっとお疲れモード。
もともと人見知りして、あんまり話すタイプの人ではなかった らしいので、私が見ていたインタビュー後半は、川端さんに アナウンサーの人が話を振っても、会話が途切れがち。
代わりと言っちゃあなんだけど、まあ三島が喋ること喋ること。 三島は目立ちたがりだし、明朗で、育ちのよさからくる鷹揚さも 感じられる話し方が出来る人なので、文壇の尊敬する先輩を 自分なりに、フォローしようとしていたのかしら。
ストックホルムで行われる授賞式に参加する話でも、
「(体調を崩すといけないから)寒いのが、心配ですね」
とポソポソ喋る川端サンに、当時はまだ珍しい海外旅行経験者だった三島が、
「北の方が、(流行病の心配がある)南よりはいいですよ」
とか一生懸命喋りかけるのね。 で、アナウンサーも雑じって、ちょっと話が弾むとね、 川端さんはほとんど話さないんだけど、 もの言いたげな目で、じっと三島を見つめてるの。
川端サンは、痩せていて小柄で、目がすごく大きい人なので、
おじいちゃんチワワみたいで、可愛いぞ。
2人とも、日本の文壇を代表する大作家だけど、 かたや装飾的でありながら荘厳な文章、かたや抽象的かつ 奥ゆかしい日本の美意識の塊のような文章を書く作家。 人となりは創りだす文章にも表れるものなんだなあ、としみじみ実感。
でも表現や個性の違いはあっても、根底には通じ合う部分が きっとあったんだろうなあ。 奇しくも、同じように自分で命を絶つ道を選んでしまった 生前の2人の和やかな談話に、色々感慨深いものがありました。
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