■ 日々の歩み。 ■
徒然の考察・煩悩・その他いろいろ発信中。

2004年02月21日(土) イノセンスな風景。

 スタジオジブリが制作協力で、日テレが提供という
珍しく公開前から、一般大衆に向けた話題性に事欠かない
押井守 の最新監督作 「イノセンス」
http://www.innocence-movie.jp/staff/index.html

 スポンサーがデカイと宣伝も大々的でして、
映画自体の公開は3月からですが、関連イベントが
目白押しで、今回も、そんな関連イベントのひとつ。
木場の現代美術館で開催中 「球体関節人形展」
http://www.ntv.co.jp/event/kyutai/

 日テレがらみで現代美術館というと、去年の9月に行った
「ジブリの立体模型展」の苦い思い出があるので、
あんまり期待しないで行ったのですが、想像よりは全然よかったですよ。


 今回、複数の作家さんの作品が出展されていましたが、

やはり、四谷シモンと天野可淡は偉大だ。


 自分が多感な時期に多大な衝撃を受けて影響されてる、という点を
差し引いても、あの二人は別格。

 日本の球体関節人形の主流となっている
耽美・退廃・アリス的少女礼賛世界 
という主題自体、上記2名が作り上げた世界観の併せ技だと思うもの。


 不勉強な私の知らない、比較的最近の作家さんの作品を見ても、
どこかで見たような、シモンや可淡のコピーみたいな
なんだか独創性に欠ける印象を受けるものが結構多いし。

 まだまだ日本では歴史の浅い分野なので、これからどんどん
変わっていく世界なのかも知れませんね。


 で、先ほどから何度か出ている 天野可淡 ですが、
37歳という若さで、15年ほど前に夭逝された人形作家。
不思議の国のアリス的な、不気味な異形の少女人形、という
一般的な球体関節人形のイメージを定着させた、立役者でしょう。

 諸事情から、作品の実物公開はおろか、3冊しか発売されていない
写真集すら絶版で入手困難のため、すでに、伝説・幻の領域にまで
なっているとかいないとか。
 
 幸いなことに、私は彼女の写真集を10年ほど前の増刷時に
偶然入手しているファンですが、今回初めて実物を目にしました。


 写真集が、ストーリー性を感じさせる、比較的作りこまれた
世界観で撮影されているので、実物をそのまま目にしたら、
ちょっと印象が違うかな、と思ったのですが、とんでもない。

 すごい存在感。ホンモノだ。

 人形の放つオーラが、空間を圧倒的に支配しているのですよ。
(なんか、イタいオタクファン的嫌な表現で申し訳ない。)

 10年前に偶然とはいえ彼女の作品に目をつけた、高校生の自分に
拍手喝采を贈りたかった。あんたの目に狂いはなかったよ。

 そういう面も含めて、すごくノスタルジックでセンチメンタルな
気分にさせられる展覧会でした。行ってよかった。


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まめ。 [HOMEPAGE]