最近、どうもネタ不足なんで、無難にビデオ感想。 フランス映画。「歓楽通り」 http://www.cinemaparisien.com/ruedesplaisirs/
相変わらず、タイトルだけで含み笑いが止まらないような 映画ばっかり観てます。なんだか欲求不満っぽくてやだね。(なら観るな)
これも、パッケージがすごく綺麗。 内容もフランスの娼館が舞台で、色っぽくも退廃的なレースやら コルセットやら絹の靴下やらがワラワラ出てきて、視覚的に楽しい。
白人特有のどこか緩さを感じさせるフランス女性の肌色と くたびれてヨレヨレした布の質感の組み合わせがたまらなく官能的だ。 しかもヒロインがブルネット。完璧。
お話としては、フランス版・春琴抄 といった感じ。 本当に、モロ谷崎テイスト。でも谷崎潤一郎の作品って、 ダラダラマッタリした空気感が、なんとなくフランス的だよね。
娼婦の子として生まれ、娼館で育った冴えない外見の中年男、プチ・ルイ 。 彼の夢は、運命の女に出会い、彼女に一生を捧げて尽くすこと。 長年待ち望んでようやく見つけた運命の女 マリオン は、新米娼婦。
2人の間に、肉体的な関係などありません。 子供の心を持ったまま大人になった、純粋なプチ・ルイは、 美しい彼女へ献身的に仕えることが、至上の幸福なのです。
彼女の幸福こそが自分の幸福。 プチ・ルイにとっては、彼女の笑顔がこの世の全て。 でも自分は、影から彼女を支えることはできても、 男として彼女に幸福を与えることはできない。
だからプチ・ルイは、「彼女を幸せに出来る男」を探します。
嗚呼、それなのに。運命とはなんと皮肉なものでしょう。 マリオンが見初めた 「運命の王子様」 は、マフィアに追われ マリオンが身体を売って稼いだお金を貢がせる、しょうもないチンピラ。
当然プチ・ルイは、そんな彼が気に入りませんが、全ては愛する マリオンのため。彼女が選んだのであれば、頭の中身が頼りない、 危なっかしい2人のために、どんなことでもするのです。
プチ・ルイが必死で守ろうとした幸せが、あっけなく崩れ去るラストは これぞ正統派フランス映画 というなんとも切ない幕切れで、 フランス人って皮肉っぽいよなあ、と唸らずにはいられない。(偏見です)
でもなにが一番切ないって、プチ・ルイが本当に誰からも愛される 純粋無垢な人物なのに、結局、マリオンへの一種偏執的な愛だけが 彼に幸せをもたらすことが出来るって点なんだろうなあ。
マリオンも勿論、プチ・ルイを信頼して愛しているけど そんなささやかな幸せで満足していていいのかよ と 見ている他人は思わずにはいられないもの。
総括すると、主要登場人物が、みんなちょっとオツムが弱い。
でもそれによって、プチ・ルイの悲哀と喜びが鮮明に浮き上がるし 生々しさとかドロドロしたものと無縁な、純愛悲恋モノとして 成り立っているのだと思うけど。
とにかく、女性受けする面白い映画だと思います。 男性には、あんまり面白さが伝わりにくい映画だとも思います。
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