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■ 才能の搾取
いろいろ好きなことはありますが、それを本当に「趣味」としている人にしてみれば、かなり気合いの入っていない部類にはいるので、艦船の写真を撮ることも、映画も、小説も、なにもかも、「すきなこと」としています。なんせ、ヘリコプターをチャーターして、舞鶴の護衛艦隊群を撮影しに行くほどでもないし、映画にしたって『ぽすれん』でPCのDVDで週数本みる程度だし、本代だって月数万円程度なものですから。
さて、私は結構サブカルが好きです。サブカルチャー。なんか、マニアックなところが好きです。メイド萌えなんてもはやメジャーでしょう。もう「ツンデレ」だって用語として普及してきたんじゃないか?先日笑ったのは「工場萌え」と「執事喫茶」。「工場萌え」とは、闇夜に浮かぶ、無機質なダクトやパイプ・タンクの群れ、群れ、群れ。そうした工場をみて楽しむことです。なんか、文明の象徴みたいなものに癒しを感じるそうです。おもしろいですね。「執事喫茶」とは、ダンディな50代、60代のスーツを着込んだ執事が、「おかえりなさいませ、お嬢様」と迎えてくれる喫茶らしいです。メイド喫茶から進化したとか。
多くの場合、こうしたサブカルの素敵で優れたアイディアは、金も時間もない過酷な状況で生まれるんですよ。深海誠の第一作品がでるまでの苦労なんて、どれほどのものだったでしょう。こうしたアイディアの結晶に触れることができる幸せが日本にはありますよね。他の国だとすぐに、大きな投資が流れ込んで巨大企業に独占させてしまう。どうして日本だけかといえば、きっと才能が金がなくても動く人が多くいるからでしょう。「あなたは今何がしたいですか?」という高校生へのアンケートで、アメリカ・中国・韓国の学生の解答でもっとも多いのは「一流大学へいってお金持ちに」もしくは「偉大な業績を残し、国家や家族に貢献したい」といった解答です。ところが、この国の最多の解答は「友達と仲良くしたい」「人気者になりたい」などだったそうです。さすが、東大卒の二等兵がいる国ですな。まさに豊かさの証明だと思いますが、簡単に言えば、みんな、金とか名誉よりも自分で自分の好きなことを追求しているのが楽しい、という「オタク」だらけということなんですよ。
こうしたサブカルチャーはあくまでサブですから、巨大マーケットに訴えることは不可能です。(他方で、信仰心ともいえる根強い少数のファンを集めるわけだが)ところが!多少小賢しい人が登場するおかげで、こうしたサブカル世界の結晶を無節操に刈り取って、切り貼りして、メインカルチャー向けの作品とするやつが出てくる訳なんですよ。
何が言いたいかといえば、踊る大捜査線。今日、「ぽすれん」のバカが間違って送ってきた『交渉人 真下正義』をみていると(注文間違って送ってきた)、シーン毎にデジャビュがおそってくるんです。目の動きを大きくアップしたカメラワーク、緊張感を無視したようなBGM、無人暴走機械、大都会のエアポケットの存在・・・。もう嫌になる。ここに出てくるあらゆるテクニックがどこかのシーンなんですよ。ま、それはそれで才能なのかもしれないけど、完成度としては、どのサブカル分野の作品に劣る。
こうした才能の剽窃をした作品のスタッフが電通との覚醒剤パーティで酒池肉林をエンジョイする一方で、今日もサブカル作家たちは、前に売れた作品の稼ぎをまた、全てつぎ込んで、三食カップラーメンで、三畳間のアパートで、次の珠玉の作品作りに取りかかっているわけだ。
この国の繁栄っていつもそんなもの。今更、下流だとか格差とかいわれたって、どうも思わないんでしょう。
2006年04月19日(水)
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