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2004年08月31日(火) 豆腐小僧

この間の金曜日に、茂山家の狂言を観てきました。
しかも京極夏彦作の新作狂言「豆腐小僧」です。

ええと、正確な公演情報は
妖怪狂言パートII 東京文化会館 大ホール 大蔵流茂山家 
新作 『豆腐小僧(とうふこぞう)』『狐狗狸噺(こくりばなし)』(京極夏彦) 古典『神鳴』 

です。

狂言、中でも茂山家はとても好きで、時々観に行きます。
そもそも茂山家は狂言の普及に熱心で、小学校を巡回してたりします。
私も小学生の時に体育館で「柿山伏」を観たのが初めての狂言でした。
面白くて面白くて、しばらく山伏が柿をもぐ「むりむりむり」という効果音が個人的流行語となっていたのを覚えています。

そしてもちろん京極夏彦氏も大好きなのです。
「姑獲鳥の夏」から睡眠時間削って読んでました。榎木津ラヴ。ああそういえば映画化。阿部寛かぁ。
それはともかく、京極氏は豆腐小僧のことが非常にお気に入りのようで、昔からインタビューなどでやたらと豆腐小僧について言及されておりました。妖怪だけれど、ただ出てくるだけで何をするわけでもないというところがポイント高いようで、とっても嬉しそうに「何もせんのですよっ!」とおっしゃってました。

そんな大好きのダブルパンチでこの狂言は必見だったのですが、初演の時は逃してしまいました。春に能楽堂で茂山家を観た時に今回の再演のチラシを貰いまして、電光石火でチケット取りました。取れて良かった。端の方の、舞台に斜めに向かっている席でしたが、結果としては前に席がないのでゆったり座れてラッキーでした。

以後ネタバレ注意。
豆腐小僧は、そりゃもう面白かったです。気の弱い、情けない妖怪。物語としてはちょっと哲学的っていうか、豆腐小僧のアイデンティテイとは何ぞや、と。豆腐を持って破れ笠をかぶっているという属性が豆腐小僧そのものなのではないか、と。その辺はとっても京極氏らしいですね。だから豪傑の大名が豆腐小僧の豆腐と笠を取り上げてしまった時に、その大名が豆腐小僧になってしまうというオチです。
古典「神鳴」も面白かった。カミナリ様が落ちてきた拍子に腰を痛めて、通りがかった薮医者が鍼治療をするのですが、その痛がり様がとっても可愛いのです。

茂山家の狂言の楽しみのひとつが狂言にまつわるトークなのですが、今回も上演前に千之丞さんがたっぷりお話されました。古典狂言には幽霊は出てくるけれど妖怪が出てこない、その理由については、おぉー、と思いましたです。つまり古典狂言は中世に確立し、妖怪は江戸時代に確立したので時代的に無理だったんですね。


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