思考過多の記録
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2004年11月12日(金) 臆病者でも、卑怯者でもなく

 今年の春から、うちの職場に一人の女性が応援で来ている。もうベテランになるその女性は、組合などでも活躍する元気のいい人だ。言いたいことははっきりと口にして、腹に一物というタイプではない。組合活動をするだけあって、人が困っているのを見過ごせない部分など、正義感が強く、その点では「いい人」である。



 だが、何事も裏と表の側面がある。真っ直ぐな物言いは時に人を傷つける。また相手との間に軋轢も生む。別に間違ったことを言っているわけではないのだが、時に言葉遣いが感情的になってくると、周囲の反発を招いたりもする。本人に悪気がないのが余計にことを難しくしている。



 昨日も、職場でこの人をめぐるちょっとした衝突があった。
 なぜかこの人は、そういうことがあると仕事中でも僕を捕まえて、思いのたけをぶつけてきたりする。僕はただ曖昧な返事をするしかない。この人の怒りや思いはよくわかるし、自分に関することだけではなく、第3者に対してのある種の思いやりから出た怒りだということもわかる。しかし、怒りの矛先を向けられた、その人よりもぼくよりも年下の女性には、彼女固有の立場があるし、彼女がそうせざるを得なかった背景=職場の置かれているどうしようもない状況があったのだ。



 自分の思いを抑えたり、我慢したりする。そのために言いたいことも言えない。それはいいことではないとずっと思ってきた。しかし、そうとばかりも言い切れないと、その人を見ていると思う。
 言いたいことをいうことが周囲との軋轢を生むことを恐れて口をつぐむのは臆病者か卑怯者だと、格好よく言えば言えるのだけれど、ことはそう単純ではない。
 では、どうすることがよりベターなのか。僕はまだその答えを持っていない。


hajime |MAILHomePage

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