思考過多の記録
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2005年11月06日(日) |
「ちょっと前向き」な芝居 |
僕の演劇公演「Noisy Gallery〜絵は口ほどに〜」が終わって1週間が経とうとしている。今回は上演時間も稽古期間も短く、出演者もスタッフも最小限という小規模な公演だったので、まさにあっという間に駆け抜けたという感じである。 今回は、僕自身が企画した公演ではなく、外からお話をいただいて行ったものだった。それも、芝居とは無関係の、どちらかというと僕の「仕事」の人脈からだったのだ。僕が以前仕事でイラストをお願いしていたイラストレータの本橋靖昭さんという方が、お仲間のイラストレータさんや編集者さんと一緒に「大人の文化祭」を企画され、その「出し物」のひとつとして芝居の上演のお誘いがあった。 そういうわけで、今回は「大文化祭」の会場である池袋のアーティストガーデンという画廊が、僕達の芝居の上演場所になったのである。
せっかく画廊でやるのだから、芝居の内容も絵に関係したものにしたいということで、実際にそこに飾られる予定のイラストを芝居の中に組み込ませていただくことにしたため、野沢まりこさんというイラストレータさんのご協力も得ることになった。描きおろしの作品ではなく、愛地球博に出品されていたというものだが、そのイラストレータの方は快く使用に応じて下さった。 また、そのイラストはもともとサイズが小さく、上演に使うためには拡大が必要だった。ここでも僕は「仕事」の繋がりを生かした。仕事上で取引のある出力センターに業務上のルートでお願いして、かなり安めのお値段と短い納期で作成することができたのである。 こう考えてくると、この芝居は僕が今の会社で仕事をしていたから実現したものともいえる。これまで仕事と芝居とは常に対立していて、その両立に頭を痛めるケースばかりだったのだが、こんな形で二つが結びつくことになるとは思ってもいなかった。この大文化祭を企画した人達の意図は、まさにそういうところにあったようであるが、こういうことがあると、今の仕事も悪くはないなと思えてくるのである。
会場となったアーティストガーデンは、普段は絵や彫刻といったアートの展示を行っている。カフェのスペースもあり、気軽に芸術に親しんでもらおうという場所である。そこで演劇公演を行うにあたっては、様々な問題点が生じたが、画廊の方にはいろいろとご協力、ご配慮をいただいた。無理をきいていただく形になったこともいくつかあったが、 「(使用方法の)いろいろな可能性が広がっていい」 と画廊の方は前向きに受け止めてくださった。その方は、新しいものとの出会いを心から楽しんでいただいているように、僕には思えた。 絵と芝居、画廊という空間と役者。できることは限定されてしまうが、なかなかに刺激的な組み合わせであったことは確かだ。僕の力不足故、どこまで効果的に使えたかは分からないが、基本的に「言葉」を使わない芸術作品と、言葉に依拠する部分が大きい演劇とが出会う、濃密な空間にその画廊はなっていたと思う。 僕自身、画廊に足を運ぶことはまれで(大抵は美術館に行ってしまう)、その意味でもいい経験をさせてもらった。これからは画廊がより身近な場所に感じられるだろう。そして、機会があればまた劇場以外のこうした空間で、僕の作品を上演してみたい。
出演してもらった役者さんのことなど、語りたいことはまだあるが、それはまた別の機会に譲ろう。 いずれにしても今回の芝居は、小品ながらその製作過程や内容も含めて「ちょっと前向き」な雰囲気に包まれている。これまでと違ったことに、「ちょっと」だけ挑戦してみた結果であろうか。 その意味で、今年6月の「Stand Alone」に比べてあっさりとした、しかし軽やかな後味である。お客様の評判もそれなりにいい。日常ではまだまだきつい生活が続く中、たまにはこういう芝居があってもいいだろう。
こうして、僕の心のギャラリーに、新しい絵がまた1枚増えた。
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