思考過多の記録
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綿矢りさの「蹴りたい背中」を読んだ。 言わずと知れた、史上最年少の芥川賞受賞作である。
クラスでも部活でも孤立している長谷川という女主人公と、同じく孤立しながらあるモデルの熱狂的なファンであるにな川という男子生徒の、奇妙な交流が描かれる。 長谷川がそのモデルに偶然会ったことを知ったにな川が、自分の家に長谷川を連れて行って、その詳細を聞き出そうとしたりするシーンがある。 普通ならここをもどかしいラブシーンに持っていきそうなものだが、にな川はモデルのラジオ番組に夢中になり、長谷川はその背中を見て、突然「蹴りたい」という衝動を覚えてそれを実行する。 孤立を気にして、五感を鋭くしながらそれを再認識し続ける長谷川と、孤立には全く無頓着でひたすらモデルを追い続けるにな川。好対照な両者の関わりが面白い。
2人の関係を一般的な恋人同士とせず、何とも言葉に言い表しようもないズレと共振する関係として描く。 中編小説だが、なるほど、ひと味もふた味も違うと思った。 同時に、これを当時19歳の少女が書いたのかと思うと、やはり「才能」というものはあるのだな、と思わざるを得ない。
僕も最近小説のまねごとのようなことをしているが、やはり才能のなさはどうしようもない。 また、努力でどうなるというものでもない。 「二十代ではないのだから、もう理想ばかりを100パーセント追う時期ではないと、わたしは思います。」 とマイミクの人にも日記のコメントに書かれてしまった。
ここで終わりなのか?
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