螺子
 僕は偶にある先輩の事を「こいつ頭の螺子が一個足り無いのでは無いか」と思う。
 實に相手に失禮な考えだと判っているから口には出さ無い。

 僕の言葉を一々鵜呑みにし、僕に人生の選擇を左右され、多く無い自分の餘暇を僕に頼まれた用事を片付けて過ごす…何故、先輩は其處迄僕の面倒をみようとするのか僕には今も判らない。
 頭が惡い譯では無いと思う。先輩が僕のいう事をきくのは決して頭が惡いからでは無いと思うのだ。

 時折、實の妹にしてやれ無かった事を僕にしている様な事を先輩は僕に謂う。
 しかし、其れは何か違うと僕は思うのだ。僕達は五年前からまるで兄弟の如く一緒に居るけれど、僕達は所詮血族なんかでは無い赤の他人なのだから。

 僕達の間にあるのは戀愛感情では無いけれど、ずっと一緒に居れたら好いと僕は思っている。
 先輩がずっと僕の言葉に振り回され續けてくれたら好いと思っている。
 けれど、如何しても偶に「頭の螺子が一個足り無いのでは」と思ってしまうのだ。實に失禮な考えなのだがな。
2002年03月23日(土)
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