バーゲンセール
 「嗚呼、バーゲンセール中なんだな。」と酷く蔑んだ眼である女性を眺める僕の卑しさに氣付いてしまつた。
 彼女が幾ら男を漁らうとも其れが僕が彼女を蔑んで可い理由になり得るとは思は無い。
 彼女が自身の其の求め方の食ひ違ひに氣付く迄僕は傍觀すべきなのだ。

 「どれだけ男を漁つたら氣が濟むの?今度は何人引つ掛けてんの?」と今日ばつたり會つてしまつた知人に云はれた。
 彼女の眼には未だ僕はバーゲンセール中に見えるのだな、と變はらぬ憎惡を認めてしまつた。

 貴女の其の眼の奧のものを直視するのが哀しくて堪ら無かつたから僕は貴女が熱く眺めて居た僕の友達との縁を切り捨てたのに。
 バーゲンセールなんてしちや居無いのに慘めさばかりが僕の手元に殘つてしまふ。
2002年07月05日(金)
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