七夕
 「好きだ」と云はれた事はある。だからとはいへ全ての扉が僕に開いた譯じや無い。
 言葉に縋り付いても全ての甘えが許されるとは思へ無いし思は無い。
 なのに何處迄が境界線なのか確かめさうになる僕の愚かさが忌々しい。

 好きだから、と相手からの好意を強要する。好きだと言つた筈だ、と相手に自分の甘えを受け止める事を義務付ける。
 其の愚かさを嘲笑したいのに今は出來無い。

 僕がし掛けた行爲を先にし、失敗した女性の想ひを讀取り、深呼吸。
 自分の中ではせめて整理をつけなければ、此の混亂した願望と欲求を理由付けしておかねば。

 七夕には織姫が彦星に會ひに行く筈なんだ。
 なのに織姫に成り得無い僕は徒待つていただけだつた。
2002年07月07日(日)
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