他人の影響
 Webデザイナーになりたいなぁ、とぼんやり思い始めたのはいつだったのか思い起こしてみた。
 嗚呼、そうか。十七歳の時だ。僕の一つ前の出席番号だっためぐちゃんが大学には進学せずに情報系の専門学校に行ってWebデザイナーになると謂い出した頃だ。
 僕の居た高校の大学進学率は98%程度で大学進学せずに専門学校に行く人は学年に一人居るか居ないかという程度の少なさで更に何処にも進学せずに就職する人は二、三年に一人居る程度だったから彼女の発言は酷く周囲からずれたものに思えて新鮮だった。
 でも、其の時の僕は高学歴取得に燃えていて大学進学しか頭に無く、彼女が進学しようと思っている様な専門学校に行かずとも彼女が望むだけの知識は手に入り習得出来るのでは無いかと考えた。そして、僕は其の考えを立証する為に色んなものに手を出し始めた。
 其れが最初に僕がWebに関心を持って接した切欠。其れ迄はWebは僕にとって情報収集や簡易連絡の場でしかなかったから。

 最初にミリタリーグッズに興味を持ったのもいつだったのか考えてみた。
 此れは十六歳の時だ。其の頃僕が親しくなったお嬢さんがミリタリーファッションが好きだったから。
 彼女がカーキ色の服のデザインについてあれこれと薀蓄たれるのを面白がって聴いていた覚えがある。

 最初に法学に興味を抱いた瞬間はいつなのかも思考してみた。
 恐らくあれは六歳の時、引越しの際に新しい家の書斎に前の家から運んできた本を詰め込んでいたら中に妙に分厚い本があった。其れが六法全書だった。そして六法全書を入れていたダンボール箱の中からは次々と司法に関する書物が出てきた。其の六法全書は一時弁護士を目指していた事のある母の所有するものだった。
 当時、簡単な漢字なら読める様になっていた僕は其等の本を読もうとしたが難解な用語に阻まれてさっぱり読解出来無くて悔しかった。其の悔しさが恐らく切欠だったのだ。

 最初に国文学に関心を持った時期も合わせて思い返すことが出来る。
 其れも六歳の時、書斎に詰め込んだ本に片っ端から目を通していた僕が万葉集の解説本を見付けた時だ。
 六法全書とは違った意味で其の本は僕には意味が判らなかった。書いてある文字にはルビが振ってある為、平仮名を読んでいけば其の本に書いてある事は読めるのに書いてある内容の意味が理解出来ないのだ。
 理解出来無いのは自分の所為では無く其の本の所為だと思おうとしたが、何だか内容が気になった。其れが最初の切欠。
 其の解説本も国文学に興味のあった時期の母が手元に置いていたものだった。

 思い返すと他人の影響を受けてばかりだ。
 でも、他人の影響が寄り集って今の僕の趣味や生活選択を構成している。
 そして、其の僕に影響される他人も亦存在し得るんだ。
2003年01月24日(金)
AddMyEnpitu
Enpitu Union
↓僕はエンピツと此のシステムが好きなので若し僕の日記を気に入って下さったなら無料版の収益UPに御協力下さい↓