問:「やねせん」とはなんでしょう。 答:谷中・根津・千駄木という3つの東京の下町のことです。
近くて遠いのが「やねせん」。 毎日利用している日暮里駅のすぐ裏にあるから、近い。 裏は裏でも階段やら坂やらを通らねばならないので、遠い。 そんな理由から今まで行ったことがなかった「やねせん」。 炎天下の中、母と一緒に自転車をチリンチリンと走らせて、 「やねせん」に出向いてみました。
鶯谷駅の近くの坂をふうふう言いながら登り、 上野公園の木陰の下を抜けて向かったのは、 根津のフランス料理屋「マヌビッシュ」。 着いてみれば拍子抜けするほど分かりやすい場所にあるのに、 方向オンチの母のおかげで、 お店の近くをぐるぐると迷うはめに。 ようやくたどり着いたお店は、 拍子抜けするほど分かりやすい場所にありました。 扉を開けて出迎えてくれたのは、眼鏡のギャルソン。 フランス料理店とひとくちに言っても、 店内は「町の洋食屋さん」といった雰囲気で、 気取らずに入れる感じです。 つけ合わせのパンがとてもおいしくて、 毎日パンを買いに来る外国人の常連さんもいるみたい。 もちろん、メインディッシュも大満足で、 わざわざ出向いたかいがあったというものです。
マヌビッシュのある住宅街から不忍通りに出て、 母が自転車を留めたのは「真南風-MAFueKAji-」の前。 そこはタイのカゴや琉球ガラスをはじめとした アジアン雑貨のお店でした。 しずく型をした薄いガラスのつり下げ花瓶にだいぶ惹かれたけれど、 自分はマメに花を活ける人間ではないと思い、買いとどまりました。 雑草でもちょこんと活けてあればかわいらしいよなぁ。 やっぱり買っておけばよかったかなぁ。
そこから千駄木方面に少し進んで立ち寄ったポイントは、 一見なんてことない町の本屋さんの「往来堂」。 どうしてこんな普通の本屋さんに寄るのかしらと 不思議に思いながら店内に入ると… なるほど、普通の本屋さんではありませんでした。 本の品揃えが、棚の並べ方が、普通ではないのです。 新潮文庫よりちくま文庫の方が多い本屋を知っていますか? 沼田元氣やみうらじゅんの本が豊富にある本屋を知っていますか? 文庫本やハードカバーより漫画本が多い最近の本屋の中、 店主やスタッフが目利きをして本を並べる往来堂は 私の心をガッチリとつかみました。
素敵な写真やイラストが満載の「peep paper vol.2」を手に、 うきうき気分で往来堂を後にした私たちは、いよいよ帰り足に。 有名な和紙のお店「いせ辰」をひやかして、 すぐ近くにある「Irias」 というお店に入ります。 古今東西雑貨屋と歌っているだけあり、 デッドストックもの、アンティークアクセ、アーティスト作品、 などなどの品物がところせましと並べてありました。 かがんだり背伸びしたりして、見れば見るほど素敵なお店です。 悩んだあげく、ポロシャツについているワンポイントを購入。 野球少年の姿形をしたかわいいものです。 無地のTシャツに縫いつけてみるのはどうかしら。
さてさて、本日のやねせん散策はいよいよおしまいです。 陽も落ちかけてきた谷中墓地の前の 並木道を通り抜けると、そこは日暮里駅。 やねせんはこじゃれた(または粋な)下町でした。 すぐ近くなのに行ったことのない場所、けっこうありませんか? 出向いてみると、とっても素敵なところかも知れません。 少し足を伸ばしてみてはいかがでしょう。 私なら、カメラを片手に、出向くかなぁ。 みなさんも自分のお気に入りのなにかを持って、 出かけてみてください。
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