学園祭まであと3日を切り、 普段盛り上がらないうちのクラスも、にわかに活気付いてきた。 おそろいで作ったクラスのパーカーももうじきできるはずだ。 私はといえば、模擬店の責任者と調理係になってしまい、 なんだかんだで毎日忙しく過ごしている。 あまり話したことのない女の子たちと調理について話したり、 もう一人の責任者の飯村とメールや電話でやりとりしたり、 いつもの日常では味わえないような充実した忙しさ。 この忙しさが期間限定のものだと分かっているからこそ、 全力投球したいなぁと思っている。 たぶん、みんなもそうなんじゃないかなぁ。 「おれんち呑み屋だから、大鍋持ってこられるかも」 「店名は丼・キホーテがいいな」 「うちらで100均行ってみるよ」 「松井の親戚が養鶏場やってるから、鶏肉寄付してくれるらしい」 非協力的だと思っていたクラスのみんなが、 ちょっとずつでも学園祭のことを考えてくれているということが嬉しい。
高校生活最後の学園祭。 "最後"という言葉は少しせつなくて、少しさびしい。 それでいて、どんなときよりも人を輝かせる言葉だと思う。 当たり前のことだけれど、 明日になればまたカウントダウンする指が少なくなるんだ。 その指が全部折れ曲がったグーの形になって、 学園祭が終わってしまっても、 通り過ぎた"最後"がいつまでも鮮やかなものだったらいい。 今はぐちゃぐちゃに書きこまれたようにしか見えない企画ノートが、 何年後かにはこのキラキラしたときを思い出させる宝物になっていたら。 そんなことを願いながら、今日はもうおやすみなさい。
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