今、逢いたい人がいる。
1人は目下闘病中の、姉。 もう1人は、やっぱり病を抱えた私の大事な友人。 そして・・・。
もう1人、私には逢いたい人がいる。
先生が初めて私の家にやってきた時、 私は6歳で、先生は丁度今の私と同じくらいの年齢だったと思う。 明るくて、気さくで、先生はいつも笑っていた。 私よりも先に両親が彼女のことを気に入った。 先生は、6歳の私に英語を教えてくれた。
すごく楽しかった。 英語の色々な歌を教えてもらった。 たくさんの英単語を覚えた。 先生が替わってもグレーディング・テストを最後まで受けて、1級まで取った。 幼稚園児に片道1kmあまりの道程は遠かったが、 週に1度のレッスン、私は飽きずに通い続けた。
中学に進学し、 私はレッスンをやめた。 学校の英語に辟易し、レッスンそのものも面白くなくなってしまったからだ。 高校に進学し、 私は英語が嫌いになった。 学校の英語が私にのしかかり、 小学校までに習った沢山の語彙さえもぼやけてきたからだ。
高校2年の冬。17歳。 大学受験を見据えて、私は先生に逢いにいった。 当時、先生は名古屋の守山に住んでいて、 3人目のお子さんが生まれたばかりのお母さんになっていた。
毎年、年賀状のやり取りをし始めて すでに20年・・・・。 最後にお会いしたのは10年前だ。 最近では手紙などで、先生の愚痴や身の上話さえも聞くようになった。
そんな先生に、今、無性に逢いたいのだ。
女性としての生き方。 教育・・・躾・・・・ 結婚・・・・ 色んな事を聞いてみたい。
昔のように、笑顔で私を迎え入れてくれるだろうか。 優しく諭してくれるだろうか。 目元の笑い皺が、和ませてくれるだろうか。
甘えたいわけじゃない。 私のところへ初めて訪れた時、 どんなふうに思ったんだろう・・・・? そういう他愛のないことを確認したいだけで。
ちょっと、前に進むための単なるわがまま。 10月の私は、忙しくなるはずなのだ。 見たい映画、芝居、 高校時代の後輩がソロパートをもらえたというゴスペル、 写真として撮影しておきたいシーン、 それに添える歌、 沢山の刺激が私を奮い立たせてくれる。
そして、私は逢いたい人に逢いに行こう。
この2本の足で。 手に入れたいものがあるから・・・・・動かなければ。
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