あたくしは、彼女らの定例的な集まりのことを、 皮肉やその他、色んな感情を以って、こう呼ぶことにしている(心の中だけで)。
会の、本当の名称は「ターニップ」 そして、その構成員は、うちらの小中学同級生らのおかん連中である。 実際問題、この「魔女集会」は、我々同窓生が同窓会やクラス会を行なう回数よりも頻度が段突に高く、異様に出席率が高く、そして、数々の情報交換がここで行われるのである。 構成員数はおよそ30余名・・・・。 昨日の定例集会でも、20余名がきちんと出席したのだと言う。 (我が家の魔女談)
かつて、あたくしらが大学生だった頃。 関東地方に進出してきていた、あたくしやトモくん、その他数名で
「あの会は、あかんな・・・・・」 「何を言われとるのかわからん・・・・」 「っていうか、うちらの動きがうちらの知らん所で知られとるし( ̄∇ ̄;)」
などなど、意外と活発な意見が子供側から出て(爆笑) 「ターニップ子供会:関東支部」みたいなものが発足しそうになったこともあるにはあった。 しかし、考えてもみれば、そんな回りくどい名称にしなくても、 我々は元々、同窓生であるのだから、親のつながりを利用して、おかしな情報網を断ち切ろうとしなくても、自分たちがもっとネットワークを確かにしておけばいいだけの話で、「ターニップ子供会:関東支部」も、単なる笑い話になってしまった。 成人しても尚、おかんらからすれば、「子供」なので、 皮肉をこめて「子供会」にしたのだけど、 その皮肉も、吹けば飛ぶようなものでしかなかったということだ。
怖いもので、今年の頭に執り行った、我々、子供たちの第1回の同窓会の企画は、あんなにも苦労に苦労を重ねていたというのに、 この「魔女集会」はどんどん段取りが進む。 笑えてくるほどに。
おかん連中のネットワークはガッチリとしているのだが、如何せん子供同士のネットワークが案外脆いのが、うちらの代の奇妙な特徴ともいえる。
誰々が結婚した。 誰々に子供が出来た。 誰々が離婚した。 誰々が職を変えた。 (以上、誰々の所には、うちらの同級生の名前が入る。) などなど、この「魔女集会」から帰ってきたサヨコをつつけば、 新情報を得られるという仕組みになっている。 恐ろしい・・・・・・・・・・。
あたくしらが学生時代の頃はまだ良かった。 話題が、まだあたくしたちの事だけで進んでいっていたからだ。 あたくしにしたって、ちょっと変わった進路を選んでいたので、 それをつつかれれば、サヨコも何となしに喋ってしまっていたし、 それはそれで、治まりがつくようになっていたのだけれど、 今は、そんな話題だけで収拾がつく状況ではない。
なるべくなら、あたくしの話題にはあんまり触れて欲しくはない。 無職に近い(っていうか、無職なんだけど( ̄∇ ̄;))状況で、 結婚もまだで、勿論子供もいなくて・・・・ そんな様子を、殊細かく話されてもみろ、 あの、魔女たちのことだ。 あっという間に街中に噂が広まる。 そういう、放送局気質の、アンテナを高く掲げた魔女が多すぎるのだ、 あの会には。
実際、もう子供からは手も離れ、 魔女たちも、話題は子供から孫のことへ、 そして、自分の趣味や近況報告・・・・そんな感じに波及していっているようだ。 ありがたいことではあるけれど、いつ何時、 あたくしの身の上が話題に上るかわからない。
なぜ、そんなにびくつくことがあるのか。
理由は、シンプルである。
だって、気持ち悪くない?? 例えばさぁ・・・・・・・
自分の結婚や出産が明らかになって、 それを、自分の周辺の人たちには報告をするのだけれど、 明らかに、あたくしと繋がっていない人たちがそれを把握していたりして それが、回り回って再び、自分の耳に入るのって・・・・・。
そういう現象は、大体つつけば、この「魔女集会」が媒介になっていることが多いのだ。
大体、ここ数年全く連絡をとっていない同級生が、 今何をしているのかというのを、このあたくしが知っているのも 魔女たちのおかげなのである。
ありえないことなのにさ・・・・。
この間、同窓会をやってみて、痛切にそのことを感じた。 あたくしは、個人的に、中学の頃の友人とはあんまり連絡をとっていない。 周囲を見ても、中学の頃からのつきあいで、未だ密接に連絡を取り合っている 大団体はないようだった。 あの子とあの子、仲良さそうに見えたんだけどな・・・・なぁんだ、絶縁状態かよ。 そんな状況も多々あって、うちら、同級生って一体なんだったんだろう・・・・ みたいな、薄っぺらな感覚。
あたくしが、個人的に連絡を取り合っているのは、 もう、トモくんと、リエくらいだ。 それだって、年に数回程度で・・・・。 そのことを、この間の同窓会で明らかにしたら、 変わった反応をされた。 リエとあたくしがそこまで密接につながっていた事が意外だったようだ。 トモくんにしたって、今でこそ、彼も結婚して、あたくしもあんまり彼の生活に介入することもなくなったけれど、 どうして、彼があたくしと繋がっているのかを知らない人のほうが多い。
魔女たちはどう思っているのかは知らないけれど、 あたくしたちは、こんなふうです。
同窓の友のことに、特別な興味もなくなったし、 今更、本当に特別な意味で会いたいという人も、そんなにいない。
ただ、あの場所にいた頃は、本当に息苦しくて、 幾つもの仮面を巧く使い分けるのに苦労して、 その苦労から解放された所に行こうとすると、必ず邪魔されて・・・・ 当時は、あんまりいい思い出がないんだ。
この間の同窓会だって、懐かしんだり、ときめいたり・・・・ なんていう、余裕なんかなかった。 本当に会いたかった、唯一の人も来ていなかったし。 何となく会いたかった、1人の男性には会うことが出来たけれど、 それだって、当時、あたくしのことを邪魔していた人間がまたもや邪魔をして 大した話もできずに終わっていった。 そんなものかもしれないな・・・・と、半ば諦めてそう思った。
魔女たちはどう思っているのかは知らないけれど、 あたくしたちは、こんなふうです。
ちなみに・・・・・・・。 「魔女集会」に参加している魔女たちの娘らは、どうしてか婚期が遅く、 逆に息子らは、バタバタと同じような時期に、早々に片付いていった。
数々の因縁が、魔女たちのものだとすると、それはそれでとても面白いのだけどね(笑)。
小学校時代の、運動会や遠足が延期になるか否か・・・・を決定付けるあのシステムがこんな所で運用されているとは、正に子供らは知る由もないのであった(爆爆)。 あたくしらにも、各クラスに「同窓会委員」というのがいたのだから、 そいつらがしっかり、各々のクラスメイトのことくらい把握しとくべきなのだ。 魔女たちの手にかかる前に(爆)。
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