MILETは思っている。 俺様が「世界で一番カワイコチャン」だと。 冗談ではない。 仔猫や牝を見て 「カワイコチャン」というのなら良い。 だが、俺様をつかまえてそれはないだろう。 常日頃、抗議しているのだが 全く改善されない。 挙げ句には俺様を抱き上げては鏡に映し 「ほーら。このカワイコチャンは誰でちゅかぁ」 などと抜かす始末だ。 全く、イタイヤツだ。 鏡は嫌いではないが… 赤ん坊扱いの上、あの口調。 冗談ではない。 俺様のことをなんだと思っているのだが。 だが、俺様もたまにはMILETの機嫌を とろうと思うことがある。 前にも言ったと思うが、 MILETは時々気鬱の病になるのだ。 そんなとき、逆らおうものなら 一週間は陰鬱な空気を吸わねばならないのだ。 そこでMILETに「カワイコチャン」といわれたら 喉を鳴らしてやる。 喉を鳴らすのは 機嫌がよい証拠だと人間どもは理解している。 そうでもないのが現状なのだが… まあ、そう思わせておく方が、何かと便利だ。 そんなわけで、 俺様はわざと喉を鳴らすことがある。 本当に 自然に 何の躊躇もなく 喉を鳴らしてしまうときがある。 幸福で優しくて暖かくて… なんだか、どうして良いか分からないほど 嬉しくなることがあるのだ。 俺様だって、そう言うときは 盛大に喉を鳴らす。 そんなときと、そうでないときの区別は MILETには一生かかっても つかないに違いない。
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