赤睫毛
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いちどめ あかくて
にどめ あおくて
さんとめ まっしろ なにもなし
何もないんですよ。
おしまい。
暗く険しい道よりも
平坦な道を選びたくなります。
私は 大丈夫でしょうか。
いま口を開けたら
出てはいけないものが
生まれてはいけない言葉が
止まらなくなる。
わたしの
髪の毛一本一本
爪の先まで
全部中身を広げたら
たぶん
どこもかしこも
真っ黒のはず。
赤く
赤く
赤く
赤く
赤く
雨粒の自殺行為。
窓に当って砕け散る。
地面に落ちて砕け散る。
赤すぎる実をつけた木は
その腕をだらりと垂らし
無意味にも水嵩の増した川に身を寄せる。
霰がうるさい。
きっとわたしは
↑
↓
このくらい。
きっとあのひとは
↑
↓
このくらい。
体を包む
生ぬるい気を感じた時
何故だか
冷たい雨に打たれて
死んでしまいたい
そう思った。
きっと
もうわたしはこういう恋愛しかできない。
もう。
ふいに頭をよぎる不安を打ち消すように。
早くどこかへ行って下さい。
御願いです。
そんなにわたしが嫌いですか?
彼女はどうしてあんな嘘を吐いたのだろう。
な
ん
で
こ
ん
な
に
も
泣
き
た
い
ん
だ
ろ
う。