「単一色の午後」
雨が降っていたので外に出た。少し風があったのでタバコの煙は目に染みなかった。目を瞑っていても歩けるような夜。街灯などない方が良い。
「それが大事だから」
あの人の側にいることに慣れないようにしたい。眠れないのは困るけど。
「澄んだ水」
秋に吹く風は透明に思える。すごく澄んでいて無味無臭だ。それはまるで純粋な水のように冷たい感触で肌を撫でて行く。秋になると人肌が恋しくなるのはきっとその風に色々なものが溶け出してしまっているせいじゃないかと思ったりもする。水に溶かされるように溜まったものを流して僕の中が奇麗になったらどうかそこには君だけを。
「確認」
座り込んで大切なものについて考える。息をするのも忘れて。
「頷く人」
くだらない事とは言わないけどいつまでもそうしてはいられないからそろそろ笑ってもいいのでは。
「ちょっと未来へ」
伝えようと思って口から出る言葉ではなくあなたのそういう無意識の会話から零れる言葉にちょっと先の未来がありそこにわたしもいると感じた時この上ないほど幸せになるのです。
「器」
あなたの器にはなれない。零れてしまっていいから混ざってしまえばいいんじゃないかと思う。元には戻せないのは都合がよい。
「届かぬともがいて」
正義のためになにかを行う事が正しいとされるなら果たしてその正義の正しさは一体なにが証明するのだろうか。僕らの手の届かぬところで確かに存在する唯一の真理というものがあるのだろうか。そうしてまた死んでゆく。
「暗」
暗がりの中で目を凝らす。光の中では見られないものに。
「友達になろう」
君がどんな反応をするのかと少し怖かったけど勇気を出して声をかけた時君も安心したような表情を見せたので僕らは友達になれると思いました。