「木の下で」
枝の向こうに雲の輪郭が見えたらこの木の下でいつまでも君を待つ。開放するということは大事ですよ。僕はそういう生き方がしたい。何かに追われて僕の元に来るよりできれば笑いながら歩いてきて欲しい。そうすれば僕も笑って迎えられるでしょう。君を待っている。ここで待っているよ。
「賽」
余分なところがなければ私の体には掠りもしなかった。殊更に邪魔という訳ではない無意味さは思い立つことさえなければ捨てる理由も見つからずいつしか私の一部となって時と共に価値付けられる。凶か吉かに。
「空蝉」
耳を打つ。静けさに映える。声を掻き消す。限りある。儚げな。日差しが照りつける。一瞬というその中にある私たちの存在。結論を急ぐべきではないそういう時もある。