ケイケイの映画日記
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2026年02月14日(土) 「HELP / 復讐島」




B級丸出しのタイトルと、このホラー感たっぷりのレイチェル・マクアダムスの画像を見て、絶対観ようと思いました。その上、監督は今やホラーのみならず、エンタメ系の巨匠になったサム・ライミだというので、どんな飛び道具が出てくるのか、興味津々でした。何というか、ビートたけしが世界の北野になったのに、未だに被りもん被って喜んでいるような、そんな映画です(←褒めている)。

仕事は出来るが変人の中年女性社員のリンダ(レイチェル・マクアダムス)。亡くなった先代の社長には覚えめでたく、役員も間近だったのに、後任は息子のブラッドリー(ディラン・オブライエン)が社長となり、その話はご和算に。ブラッドリーは、リンダの事を認めない以上に、パワハラを駆使して辞めさせたい模様。彼女を利用するため、香港への出張に同行させたはずが、プライベート機が墜落してしまいます。数人の社員や乗務員は全員死亡。無人島で生き残ったのは、リンダとブラッドリーだけでした。

古くは「流されて・・・」等、社会的に格差のある男女が、無人島に二人きりとなり、立場が逆転して、果たしてどうなるか?系の作品です。今作るんですから、設定も工夫され、今回は女性のリンダの方がサバイバルオタクで、俄然能力を発揮します。

リンダは冴えない上に、同僚からも浮きまくりの中年社員。それでも社長は目を掛けていた優秀さは、後々考えたら重要でした。水を得た魚とはこういう事だね。無人島でのあの手この手のサバイバル術は、ほぉ〜と感心するくらい、素晴らしい。一作本が書けますよ。すぐ実行出来そうなことも多々あり、物凄く勉強になりました、ハイ。

あのいつまでも可憐なレイチェルが、ゲロ吐き血まみれ泥だらけで、大奮闘です。何が彼女にあったのか?ベティ・デイビスが白塗りでホラーに現れた時は、これくらいの衝撃だったんだろうか?つーくらい、驚愕しました。チラシは嘘偽りなしです。この作品の面白さは、一にも二にも、今までのイメージをかなぐり捨ててて、レイチェルが大奮闘して演じたからだと思います。

娑婆では不細工メイクもせずに、演技力だけでブスブス振りまいていたリンダが、無人島では透明感マシマシ。猪を仕留めて血だらけになるのに(笑)。この時の「癖になりそう・・・」の恍惚とした彼女は、ある意味伏線だったんだな。粗末な衣装と、限りなく素顔なのに、リンダは美しく変貌します。着飾った普段のレイチェルより綺麗なくらいなんだよ。いや女優さんて怖いわ。このホラーより怖い。そして、都会の窮屈な生活が、彼女を抑圧していた事も浮かび上がらせています。

都会派の御曹司ブラッドリーはというと、予想通り役立たず。反目しあいながらも、段々とリンダに従順になり、彼女を助けるまでになる様子は、育ちの良さからくる素直さも感じました。しかし!人間の気質は、そう簡単に変わるもんじゃないんだよ。一筋縄じゃいかない脚本は(脚本もライミ)、都会では蓋をしていた、自分の人生の孤独や渇きを、無人島で一気に取り戻そうとしているリンダと、全然学びのないまんまのブラッドリーを焙り出している。

ラストはダサい中年女から、私は強くて賢く美しいと自認する、リンダの様子が伺えます。人間、人生の何が転機になるか解らないというお話を、めっちゃ痛快に描いています。まだまだライミには、被りもんも被ってね、という作品。





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