オミズの花道
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『真夜中のピータン粥が絶品の大和撫子』
2003年01月15日(水)


昨日はお店が引けてから、同僚のさおりちゃんに家に遊びに来ないかと誘われた。
私はさおりちゃんが大好きだし、また何か話もあるのだろうから、
プライベートは踏み込まない主義の私ではあるが、喜んでお伺いした。


で、お家に寄せて戴いて。
私はさおりちゃんがますます好きになった。
どうしたらいいのだ。・・・・ってくらい。


きちんと整頓された2LDKの部屋には塵一つ落ちていない。
どこもかしこも本当にぴっかぴか。
何か作るね、と開けた冷蔵庫は機能的に整理されていてこれまたぴっかぴか。

揃うべき物はキチンと揃い、機能的に配置され、
飾るものはより美しく見えるように飾られている。


リネンにはこだわっているらしく、とても良い物に包まれて眠っているようだ。
シーツもカバー類もパジャマも、いやガウンに至るまで素敵なものである。

これはとても大切なこと。
眠ることにこだわる性格の人は、自分を大切に生きれる人だ。
自分を大切に出来る人は他人をも大切に出来る。

ベットには可愛いぬいぐるみ。かと言ってフェロモンむんむんではなく。
非常に女性らしいのだが、どこかアッサリした気性の彼女の姿勢が見える部屋だった。


で、何に惚れたかと言うと。
彼女は中国の女性で、日本に来てまだ4年なのだ。


こう言っては何だが、ここまでの生活を送っている中国人女性は珍しいと思う。

特にこの業界はやはり金銭優先の女性が多いし、外国人女性になるとそれがまた顕著な例が多い。
勿論それはそれで良いし嫌いではない。
タフネスさには敬意を表したいし見習うべき所も多いから。

外国の方は日本での生活において何人も同居して少しでも住居費を浮かしたり、日本人のパパ目当てに働いてる人も沢山居る。

そんな中でさおりちゃんは、同年代の中国人女性・・・・いや、日本人の女性でさえ困難であろうキチンとした生活レベルを築いている。
誰に援助して貰う事も無く。
(↑これは立ち居振る舞いや生活グッズで明確。この嗅覚は同性なら解って戴けると思う。)


例えば私が外国で暮らしたとして、この生活が築けるであろうか?
言葉を学びながら、働きながら、食べて行くことが出来るだろうか?

・・・・きっと出来ない。
ここまでの事は出来ない。
この時点でもう私は彼女に惚れていた。人間として惚れていた。


そんな事を考えながらぼんやりとしていると、とっても善い匂いがしてきた。

『これね、菊の花と薔薇の花のお茶なの。飲んでみて。お肌が綺麗になるよ。』


出されたお茶は本当に香り豊かで美味しく。
仕事が終わった後の疲れた胃壁に染み通る。


そして出されたピータン粥。
スパムのようなハムと共に煮てあり、絶妙の塩加減。
少し余ったピータンに醤油とごま油をかけて出してくれる。
中国ではこうしてたべるのよ、そういいながら。

ピータン粥は余りにも美味しくておかわりをしてしまった。
・・・・・・・・ダイエット。
いいのだ。
この嬉しいご飯で付く肉なら、オトコ水上、甘んじて受けようぞ。(何ぞい。)


そしてもうひとつ、何と呼ぶのか聞き損ねたが蓮根料理。
蓮根の中にもち米を詰め、まるごと蒸し上げ切ってある。
ざらめ砂糖に付けて食べると何とも懐かしい味がするのだ。

『これね、お母さんに小さい頃作って貰ったの。
 昔はそんなに好きじゃ無かったんだけど、急に食べたくなって作り方を電話で聞いて。
 お母さんと同じ味に作れると凄く嬉しいよね。』


この時点で私は叫んでいた。
『大和撫子!』と。
(ついでにプロポーズしてしまった私はやはり変ですな。)



彼女こそ忘れ去られた日本女性である。

彼女の持つたくましさを、かつては我々日本女性もも持っていたはずだ。
戦後の焼け野原から経済大国(不況だが)までにのし上がったのは、何も男性ばかりの力ではなく、こういった芯の強い女性の力が大きかったのだ。

そしてこのキチンとした生活の姿勢。
自分も疲れているのに人を暖かく持て成してくれる真心。
母の味を懐かしみ、受け継ごうという姿勢。


真夜中に私はひどく心打たれ、また反省した。
取り敢えず私は彼女を見習う事にしよう。
足元にも及ばないだろうけれども。


それから少し話をした。
2月の末で退店すること、私の私生活の事、将来に思うことを色々。

彼女は全部解っていたようだ。
『だってなおちゃん解りやすいもん。考えてること、隠さないじゃない。』
そう言って笑う。


『お店を辞めても時々は遊ぼうね。さおりのこと、忘れないでね。』


ここでもう一度、結婚しよう!と言った私はアホでしょうか。
でも嫁が欲しいんです。ダンナはいいから嫁が欲しい。

さおりちゃんは嬉しそうに可愛く微笑む。
ああまったく世の中のオトコ供様はどこに目を付けておられるのでしょうねぇ〜〜〜!!



本当にさおりちゃんって大和撫子だよねぇ、そう言う私にさおりちゃんは答える。

『そうなの。今のお店でも「さおりは中国人のフリをしてる」って皆に言われるの。
 なおちゃんのオカマ疑惑と同じくらい多いのよ。』




私達は良いコンビやも知れぬ、と思う夜更けであった。
・・・・ちと考える部分はあるけれども。
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