オミズの花道
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『お客様との恋愛』
2003年01月22日(水)
昨日は本当なら四ツ橋で『007』の試写会であった。
だけどオーナー様のご都合でキャンセル。
タイムリーな御国キタチョ〜〜〜〜センがクレームを付けたらしいので、
どんなもんやら観たかったのだが。残念。
地元ぱぱが白い着物が似合ったご褒美に、もう一枚着物と帯を買ってくれた。
黒を着たところが見たいのだという。
選んだのは裾と袖に白と銀のぼかしの入った地味なもの。
帯は西陣織の竹の柄で、これまた白と銀。
地味になりがちな取り合わせだが、帯揚げと帯締めと伊達襟で遊ぶ事にする。
小物を深紅でまとめると良いかも知れない。
この人はどうしてこんなに私に良くしてくれるのだろう?
何の得もないのに。
そりゃホステスとして最大限にやるべき仕事はするが、そんな事を言ったら物を買って貰えるホステスなんて沢山居るだろう。
どんな仲になっても最終的には色が出てしまうこの世界、気に入られたいが為に男が物を貢ぐのは、そこらに転がっている話だ。
確かに昔はこのぱぱとは言え色を抜くのが大変だったが、今はもう色気の欠片も無い。
なのにこんな風にぽん、と私に思い出になる物を与えてくれる。
何の見返りも求めず。
それが私には今更ながら不思議でしょうがないのだ。
いくら色を抜いた成果とは言え、こんな考え方は男女においてまかり通るものなのだろうか?
さて、ここからなのだが。
少し前の話になる。
東京の友人の所に出向いたぱぱが夜中に電話をかけて来た。
その時私はアフターでマミの店に居たのだが、こんな夜中に何を電話してきたのかと不審に思い、外に出て電話を取った。
聞くと、友人が接待の延長で自分に女性をあてがったのだという。
21歳のとても綺麗な娘だったらしい。
ぱぱは派手な業界に居たから、そういう接待もあるのだろう。
そうなの?良かったじゃん。美味しいものは美味しく戴いた?
確か私はそう聞いたと思う。
そこには何の嫉妬も無く、嫌悪感もなく。
男友達が男相手に言うような感情だった。
ぱぱは答える。
『何もせずに帰した。気持ちが繋がっていないなら虚しいだけだから。』
良くは覚えていないが、確かそんな内容だったように思う。
ここで私に奇妙な感情が浮かんだ。
訳も無くぱぱに会いたい、この人の傍に行きたい、そう思ったのだ。
何もせずに帰した、その言葉を聞いた瞬間に、私は猛烈に彼に惹かれた。
無性に会いたくて、彼を抱き締めたくて、触れたかった。
何故その時そんな風に感じたのか今でも解らない。
ただその時の私にはどうする事も出来ず、自分でも予測していなかった自分の感情に酷く狼狽した。
会話も上の空になり、訳の解らない事をつぶやき、何も聞かず聞けずのまま、慌てて電話を切った。
ここ近年あんなに慌てた事はない。
そして今でもやはりあの時の感情に説明がつかない。
かと言っていつの間にか恋をしていたと言うのでも無さそうで、ぱぱとは相変わらずべらんめぃてやんでぃのお付き合いなのだ。
この仕事はいつまでも色と遊びの境目が見えない。
何年経ってもそれはずっと変わらないのだろう。
何故ならば、
いくら慣れてきて客をかわす事は出来るようになったとしても、時として自分の感情『こそ』がかわせなくなる瞬間があるのだ。
自分でも気が付かないうちに、境目を見失う事がある。
それをお客様ではなく自分の中に見たとき、私は急にこの仕事が怖いと思った。
お客様と付き合った事の無い私という人間は、仕事という言い訳の鎧があったから、ただそれで自分を守っていただけなのではないだろうか?
・・・・無理矢理分析したとしてもそんな陳腐な答えしか出せない。
今はただ、鎧と言い訳で押さえつけている自分の感情が、もう二度と噴出して来ないように祈ることしか出来ない。
つくづく未熟者である。
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