オミズの花道
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『水上、芸者になる』
2003年02月14日(金)


さて、オバケだ。
初日は取り敢えず芸者さん。


鬘を借りたり衣装を借りたりしようと思ったのだが、
自分の髪の毛で結った方が得だよ、とのお姉様方の台詞で美容院へ。

この日記を御覧になっていて、尚且つ私に会った方はご存知だろうが、
私の髪は長くは無い。肩に付くくらいのセミロングだ。
その程度の長さで付け毛も無く、足し毛もなく、
つぶし島田がちゃんと結えちゃうんだから、美容師ってすげえ。

出来上がりを見物されちゃったりして。いつもと立場が逆なんである。
さかさかと出来上がって行く行程を見ているとなんとも楽しい。

『ミナミでも日本髪を結わせたらトップに腕は良いわよ。』
そう言ってここを紹介してくれたのが強面の老舗のママだったので、美容師さんも回りも相当神経を使っていた。

美容師さんの緊張を解きほぐすのに相当労力を使ってしまった私。
これから仕事なのにつまらん事で疲れたくないなあ、としみじみ思う。


そうそう。私は着物を着るようになってから髪の毛をずっと黒に染めている。
別にトシ喰って白髪が多いのではなく、地毛が茶髪なのだ。
これが学生時代と今の和服時代は苦労の素だったりして。
と言うのも染が落ちると逆河童のようで情け無く、しょっちゅう染めなければならないので面倒くさい。

だがその黒髪と言うのが美容師さんには新鮮らしく、いたく喜ばれてしまった。
『やっぱり島田は黒髪じゃないとね。』などとのたまう。
日本髪は茶髪だとどうもしっくりこないらしい。
最近は茶髪の日本髪の鬘もあるらしいし、雛人形も茶髪が増えているらしいが。


で、美容室で得た知識なのだけれども、オバケというイベントは祇園が発祥なのだという。
コテコテだからてっきり大阪独特なのかなと思っていた。
どちらかと言うとコテコテどころか由緒正しいのだな。意外だ。


普段は着物の芸者衆が、節分に思い思いの格好をするのが始まりだそうで、それを真似て大阪全般と、近年は博多の一部で開かれているらしい。

芸者衆流れの遊びとして有名なのは他にジャンケンイッキなるものがある。
勿論芸者衆の遊びはもっとスマートで、ジャンケンの形態も随分と違う。
うろ覚えなのだが、衝立を挟んで『武士、母親、虎』を表現し勝敗を決めるのだ。

武士は虎に勝ち、母親に負ける。
母親は武士に勝ち、虎に負ける。
虎は武士に負け、母親に勝つ。
何だかそんなんでしたな。


そんな雑談を交わしながら、頭が出来上がる。次は着付けだ。
芸者と言っても芸者用の着物を着る訳ではなくて、何でも良かったりする。
要は帯の結び方なのであって、それも何種類かあったりするだけなのだ。

私は地元ぱぱに買ってもらった黒の着物に西陣の竹柄の銀の帯を合わせ、小物(帯揚げと伊達襟。帯締めは芸者さんは使用しないそうだ。)で遊んだ。
簪の代わりに使ったのが紅い生花だったので、小物も深紅に統一。
帯を交差して、後ろを垂らした結びで完成。
いや中々に『にわか芸者さん』の誕生である。うひょひょ。


で、ここからが凄い。

かかった費用は何と頭と着付けで7000円ぽっちなのだ。
・・・・・・・ぽっち。
・・・・・・・ぽっち。
いや、大きい事を言っている訳ではありません。私だって庶民です。

だけどね、
芸者の衣装や鬘を借りようとすると、こんな予算じゃ絶対無理なんですよ。
まず、25000〜35000円はゆうにかかってしまうんです。
(花魁はこの倍ほどかかります。)
色々検討しましたが、やはり今年の手段が一番安上がりでいいようです。

それと、ミナミの美容院は割と日本髪を結える方が多いのだとか。
値段と、この点ふたつでいたく感激した一日でした。


同伴の最中も目立つ目立つ。
寿司屋で名刺を求められ、殆ど使ってしまいました。
意外ですが店でも喜ばれました。見飽きてるんじゃないかと思いましたが、男性はやはり着物姿に弱い生き物ですね。


こういう事がお仕事で出来る水商売と言うのは、何とも楽しいものです。


『まあ、水上さんは普段から普通じゃない格好してますからねえ。』
そんな黒服君の雑音は置いておいて。
オバケ一日目は平穏に過ぎて行ったのでした。




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