オミズの花道
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『私の一番嫌いなお酒』
2003年05月15日(木)


昨日の同伴は韓国料理の『兆』であった。
美味しかったけど『韓日館』の方が味が上かなあ。
って、値段はどうなんだろ。解らないけれど。
人のおごりで食っていておいて味の批評とはこれいかに。
イカンイカン。

でもブタさんの携帯ストラップを貰ってしまった。可愛い。
金運が良くなるんだって。運勢だったかな?とりあえず付けとけ。



ところで、うちにはサオリちゃん以外に中国の女性が2人居る。
吉林省出身の『ユウちゃん』と、上海出身の『カナちゃん』だ。

と、言っても二人ともまだ新人さん。ユウちゃんは一ヶ月、カナちゃんは一週間目だ。
或る日の事、カナちゃんが44〜45歳くらいの男性と同伴して来た。
私とユウちゃんはそのとき別の席に居たのだが、ユウちゃんはカナちゃんのお客様を見て、只ならぬ反応をしていた。明らかに様子がおかしい。・・・・これは顔見知りだな。


うちの黒服連中は良い子が多いのだが、気の回らない子が多く、中国の女性の席には、同じ中国の女性を付けたがる。・・・・ワンパターンだぞよ。
案の定、その席にもユウちゃんが呼ばれた。だが彼女、異常に嫌がっている。
『なおちゃん、私いきたくありません。あのお客さんと昔、とっても喧嘩しました。』

『ふうん、そう。ちょっと待ってね。』
私は黒服を呼び、このお客様はユウちゃんを気に入っているから外さないで、と適当に理由を並べて逸らした。(オイラは女の子にゃ優しいのです)

何かあったんだろうな、と思いながらもそんな事は関係ねえやと接客を済まして帰る。
いちいち人の事情なんか覗き見してる暇も趣味も無い。


で、後日。
ユウちゃんが待機中に私の横に座り話しかけて来た。

『昨日はありがとう。あのお客さんと私、昔付き合っていたね。あの人、中国人好き。
 しかも日本に来たばかりの馴れて無い子ばかり好き。
 今、あの人カナちゃんの彼氏。昨日私の家に来て、彼女を頼む、言いました。』
『はあ?来た?来たって・・・・あの人が?』

要約すると、
1)昨日の男性は本来なら中国人の店でしか遊ばない。
2)日本馴れしてない子としか付き合わない。
3)付き合っても半年くらいで乗り換える。
らしい。

・・・・。
・・・・。

『で。カナちゃんはその事知ってるの?』
『・・・・知らないです。』
『彼女を頼むって、どういう義理でそんな事しなきゃいけないわけ?』
『多分、私の方が日本、長い。・・・・から。』

頭痛いぞ。
取りあえずむやみに家に上げない事と、他の女性には言わないようにする事を告げた。

で、今度はカナちゃんだ。
1)彼にはどうも他に女が居るらしい。
2)日本人ばかりのクラブに勤めた事を嫌がっている。
3)突き詰めてハッキリしたいが、同伴の相手を失いたくない。
なのだとか。(これは待機中に本人が皆に喋ってたんですけどね)


・・・・ムカついてしょうがないんですけど。


個人的に思うのだが、こんなセコイ男は大嫌いだ。
バックアップを餌に関係を迫り、尚且つ昔の女への情の欠片も無いときた。

さいっていだね。

確かに靡いてしまう女性達にも非は或る。
中にはビジネス上当然の事として、何の感情も無く受け入れる子も居るのだろう。
のだが、日本馴れしてない女性ばかりを狙い、後ろ盾をちらつかせモノにする。
こういう手段は真っ当にやろうとしている子でさえ、ぐらつく餌ではないだろうか。
非常に手堅い。感心するくらいに狡猾だ。まさに確信犯。


だが、それが男のする事かよ。
それが男の遊び方かよ。

情けねえ。

しかもノミのような後ろ盾。ショボすぎる後ろ盾。
甲斐性も無く遊ぶ奴の典型だ。
女性もそんな奴相手に安売りしないで欲しいものだ。


夜の世界は所詮狸と狐の化かし合い。
そんな事はとっくに承知の上だ。

男だから許せないんじゃない。
女だから許せないんじゃない。

私は、弱者を狙って、食い物にして、この海を渡ろうとする輩が大嫌いなだけだ。


ミナミで伝説のあのママは、某製薬会社の会長に店を持たせて貰った、あのクラブの女の子はマンションだのクルーザーだのを買って貰った、そういうのとは話が根本的に違う。

強者に向かって弱者が成り上がって行く、そんなものはごまんとあるし逆に美しいとさえ思う。
逆にこれを批判するのはやっかみ半分な人達も居て、どっちの言い分もどっこいどっこいだろう。
出来ない奴が何を言おうが遠吠えに過ぎない事を、本人達だけが知っている。
勿論、伝説のママだって、してもらった以上の事はなさっている。
色だけでは返しきれないものを返しておられる。
世の中はそんなに単純なものではないし、どの世界にも駆け引きや鬩ぎあいは存在し、また色や美だけで騙し通せるほど、人間という存在は頭の悪い者では無い。


そういうのはまだ高尚な方で、今回のような男の例は本当に質の悪い遊び方だ。
人の感情を弄び、弱みに付け込む汚いやり方だ。
力関係を逆転させる前者と、力関係に付け込む後者とでは雲泥に違う。


私のお客様も女遊びは好きである。
中には目を覆うばかりのドジをなさっておられる方も居て、あるお客様の奥様は私に監視役を申し付けておられるくらいだ。

・・・・だけど、そこにはどなたも何かしら拠所ない事情があって、彼等はむしろ自分の内に抱える物に、責任や代償をキッチリと払っておられる。
惚れてはならぬ身分で、だがしかし惚れてしまった責任はキッチリ取るし、それ故に自分も経済的だけでなく感情的にも傷ついたり泣いたりしている。

私は不倫の正否だけで目の前の方々を断罪出来るほど偉くは無いので、もう出会ってしまった縁の或る二人にどうこう言うつもりはなく、そんな事は私が当事者で無い限り、実の所はどうでも良かったりするから、彼等男連中の女遊びを目の前にしても、嫌悪感は不思議と湧かない。


自分のお客様だから大目に見ている訳では決してない。
自分が男だったらどうだろう、この人の奥様だったら、恋人だったら、娘だったら、と、自分の立場を置き換えて考えてみて、人として許せる範囲かどうかを思い浮かべてみる。
それで判断して自分の中で受け入れられるか受け入れられないかを決める。

そりゃ誰だって女房の立場になったら浮気は嫌だろう。
だけれども、その女性が好きでそうなってしまったのと、今回のよう付け込んで遊ぶのと、どちらがまだ理解出来るかと言うと、殆どの女性が前者ではないだろうか?
男として夫として許せないと云うよりも、人間的にアウトな行為を行う奴の方が、嫌悪感でいっぱいになり、尊敬も信頼も無くしてしまうのではないだろうか?

その辺りを念頭に、述べられる範囲なら述べ、許される範囲なら沈黙する。
目に余る事は少ないので、自分の意見を述べる機会は少ないのだけれど。


その男に話を戻そう。
自分の好みの女と遊びたい、それはいい。
すれてない中国人の女性が好き、と言うならそれもいいだろう。

だが相手の弱みに付け込み、関係を繋ぎとめる。
この遊びの何処に「人としての情」が存在するのか?
私にはどうしてもそれが見えないのだ。

好きになってしまうのは仕方が無い。
遊びが好きな人生ならそれでもいい。

だが一片の欠片も責任を負わないその姿勢を、男として産まれたならば恥じるべきである。


ましてや昔の女に今の女と仲良くしてくれ、などとは良く言えたものだ。

そこまで不様さを曝してまで遊びたいのか。
そこに一体何が存在すると言うのか?
それで一体何を得ると言うのか?



こういう汚い酒を、泣かされる人間を見るたびに、この仕事にふと嫌気が差す事がある。

泣かされる女性が随分減ったとは言え、この不景気も拍車をかけるのか、狡い男も弱い女も相変わらず夜の街には存在している。

酒で汚さを誤魔化すのと、汚さを酒で誤魔化すのは筋が違う。
解って欲しいとは思うが、その事を弁えて飲んでいる男は残念ながら少ない。

時としてこの海の汚さに嫌気が差す。
表面は光を弾き煌いていても、柔らかに波が立っていても、水底に溜まるヘドロが垣間見えてウンザリする瞬間がある。


・・・・が、それでも、清いものは在る。
確固として存在する。


そう信じて私はこの海に居る。


・・・・波に呑まれそうになりながらも。
・・・・水の冷たさに凍えそうになりながらも。




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