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■ スプートニクのくじら。
すっかりくたびれた文庫本の「スプートニク」を、 いつか読んでくれたらいいなと思い、彼の部屋にこっそり 置いておいて数ヶ月、やっと読み始めたらしい。
村上春樹の作品を何度も何度も読み返した時期は、 一度だけではなかったはずだ。 その、きちんと丁寧にたどっていくあまりにも あっさり正確な描写と登場人物の動きなんかは、 わたしに自然とつながっていったし、 それでいて、わたし自身との微妙な相違の中で、 奇妙なずれの快感が麻薬のように支配した。
江国香織にもすこし似たようなことが 言えるんじゃないかと思う。
とにかくわたしは、自分のことを「村上春樹好き」であると 第三者に評されたときに激怒した。 個人と小説との関係は、すくなくとも私自身の中におては そんなに馬鹿みたいに単純なものではない。 脳を冒す、麻薬のようなのである。
自分自身の小説を書くペースが、いまでは酔っ払った亀の ように遅くなってしまい、なかなか人前に出せるような まとまったものにならなくなってきた。
それでも、ことばは降り続けてくるので困る。 毎日毎日、ごまかしているけど。
しかしまぁ、するりとまとまる物書きさんは ちょっぴりうらやましい。
2003年11月26日(水)
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