あふりかくじらノート
あふりかくじら



 スプートニクのくじら。

すっかりくたびれた文庫本の「スプートニク」を、
いつか読んでくれたらいいなと思い、彼の部屋にこっそり
置いておいて数ヶ月、やっと読み始めたらしい。

村上春樹の作品を何度も何度も読み返した時期は、
一度だけではなかったはずだ。
その、きちんと丁寧にたどっていくあまりにも
あっさり正確な描写と登場人物の動きなんかは、
わたしに自然とつながっていったし、
それでいて、わたし自身との微妙な相違の中で、
奇妙なずれの快感が麻薬のように支配した。

江国香織にもすこし似たようなことが
言えるんじゃないかと思う。

とにかくわたしは、自分のことを「村上春樹好き」であると
第三者に評されたときに激怒した。
個人と小説との関係は、すくなくとも私自身の中におては
そんなに馬鹿みたいに単純なものではない。
脳を冒す、麻薬のようなのである。

自分自身の小説を書くペースが、いまでは酔っ払った亀の
ように遅くなってしまい、なかなか人前に出せるような
まとまったものにならなくなってきた。

それでも、ことばは降り続けてくるので困る。
毎日毎日、ごまかしているけど。

しかしまぁ、するりとまとまる物書きさんは
ちょっぴりうらやましい。

2003年11月26日(水)
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