無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2005年10月04日(火) 一般の認知度は「モナー」より「のまネコ」の方が上なんだよね/ドラマ『赤い運命』第一話

 例の「のまのまいぇー」の「のまネコ」問題であるが、エイベックスと2ちゃんねるでのゴタゴタ、まだまだややこしい事態が続きそうな気配である。
 「のまネコ」キャラの著作権を持つ「ゼン」が、昨10月3日、エイベックス・グループ・ホールディングスの要請を受けて、出願していた図形商標について取り下げの手続きをしたとか。けれども、同時に出願した文字商標「のまネコ」については取り下げる意向を示していないという、何だかみょうちくりんな姿勢である。エイベックスはこの件について、既に製造販売している分のグッズについては従来通り「(c)のまネコ製作委員会」の表記をつけたまま、回収等の措置は行わないもののようだ。
 要するに「のまネコ」はあくまで「モナー」とは関係がない、ただ、誤解を招きはしたので、「図形商標」の登録だけは取り下げる、ということのようである。何だか中途半端な身の引き方だねえ。
 そもそも「モナー」は、著作権が誰に帰属するかも判然としないただの「落書き」である。落書きであるから、誰がどのように利用しようが、咎められる筋合いのものではない。「のまネコ」アニメに関してもグッズ販売に関しても、問題はないと言っていい。「へのへのもへじ」のキャラクター人形を作って売ったとして、誰がどう損を被るというのだろうか、と言えばリクツはご理解いただけるだろうか。
 しかし、これを「商標登録」することになると、話は変わってくる。即ち、「へのへのもへじ」や「ヘマムショ入道」を商標登録しようとしたようなものである。誤解も糞もありゃしないだろう、単に「あほ」なだけやないか、とエイベックスに対して文句を言ってやることは全くもって当然のことなのである。
 しかし、だからと言って、私が2ちゃんねらーたちに組する気にもなれないのは、やっぱりあそこに集まってる連中の中には、少なくない数の既知外どもがいるからである。
 この騒動でエイベックスに対してなら「何を書いてもいい」と考えたのか、松浦勝人社長の殺人予告を書き込むやつが何人も表れた。「モナー」はもちろんエイベックスのものなどではないが、同時に2ちゃんねらーたちのものでもない。たとえ発生が2ちゃんねるからだったとしても、「落書きに著作権はない」し、それが不特定多数に利用されている現状がある以上は、仮に何らかの権利があったとしてもそれは既に雲散霧消してしまっているのである。だから当然、2ちゃんねる掲示板の管理人にも権利はないのだ。
 2ちゃんねらーたちが何を思いあがってるのかは知らないが、「殺人予告」までするようであれば、これはやはり彼らの言い分に賛同を示すわけにはいかない。たとえ本人たちがただのイタズラのつもりであろうと、心理的圧迫をエイベックス社員たちに与えている以上は立派な脅迫行為である。ここいらで、2ちゃんねらーたちも一部の犯罪者の後押しをするような言動は控えたらどうか……ってそれができるような連中なら巨大掲示板に匿名で書き込みするようなことはハナからしてないわな。
 2ちゃんねるがらみの事件については、下手をしたら既知外どもを相手に丁々発止なんて面倒くさいことにもなりかねないので、あまり触れては来なかったのであるが、何だか2ちゃんねらーたちの言い分が全面的に正しいと思い込んでいるおかしなヤカラも巷には散見しているようなので、ちょっとだけ触れておくことにした。全く、落書き一つのことで喧しいことである。


 TBSテレビ放送50周年、ホリプロ創立45周年の特別企画として、往年の山口百恵主演の『赤い』シリーズのうち、最高傑作との評判も高い『赤い運命』のリメイク版の放送第一話。ファーストシーンで、墓標の前で墓参りするヒロイン二人を出しちゃうのは結末を予想させちゃってどうかなとは思ったが、全体的にはあまりダイジェスト版という印象がしないのがよろしい。

 1959年9月26日、多大な被害をもたらした伊勢湾台風のさなかに別れ別れになった夫婦が、17年後に、養護施設での子供の取り違えをきっかけに再会する。検察官の娘と殺人犯の娘、お互いが取り違えられたとも知らず、それぞれの家族の運命の糸はさらに複雑に絡んでいく……。

 という「ありえねー」設定なのだが、大映ドラマが新派悲劇の流れを汲んで、大時代的なロマンを描いてきたのは周知の事実。取り違えの真実を知った検察官の榎木孝明が、「今ここで真実を告げれば、娘たちも傷つくし、人間らしい心を取り戻そうとしている殺人犯も、更生の道を断たれる」と判断して、真実を告げることをあきらめる、というのも、よく考えれば「事態が悪化するだけじゃないか」と突っ込めるところだが、それを突っ込んじゃあいけないのがお約束である。
 オリジナル版の宇津井健も、「自分一人だけが苦しい」みたいな大仰な演技を披露して(この人の演技は『新幹線大爆破』もそうだが、常に眉間に皺が寄っている)、当時の視聴者を爆笑……いや、感動させていたものだったが、榎木孝明もそのあたりがよく「分かって」いて、タメのあとに搾り出すような発するセリフが素晴らしい。
 しかしやはり最高なのは「悪役初挑戦」という触れ込みの(ウソつけ)船越栄一郎である。オリジナル版の三国錬太郎もかなりアクは強かったが、船越栄一郎のもう頭の先からケツっぺたまで「おりゃあ所詮極道よ」って匂いをプンプン漂わせている臭い演技は、下手だか上手いんだか分からない。いや、もちろんそういう演技こそがこういうドラマには合っているのである。
 肝心のヒロインの綾瀬はるかであるが、『戦国自衛隊1549』の時にも思ったが、「誰がやっても構わない」ような演技ばかりさせるのは損なんじゃないのか。ともかく「濃い」キャストの中に埋もれてしまって、セリフが殆ど生きていないのである。それを考えると、宇津井健や三国連太郎に決して負けてなかった山口百恵は偉大だったんだよなあ、とつくづく思う。
 参考までに、オリジナル版とのキャストの比較。当時の「濃さ」がご理解いた他だけようか。

 キャスト(役名:平成版:オリジナル版)
 •島崎直子:綾瀬はるか:山口百恵
 •島崎栄次:船越英一郎:三国連太郎
 •吉野信人:榎木孝明:宇津井健
 •吉野いづみ:佐藤千亜妃:秋野暢子
 •吉野俊介:玉木宏:南条豊
 •吉野剛造:神山繁:志村喬
 •大竹由美子:紺野美沙子:岸田今日子
 •大竹修三:渡辺いっけい:前田吟
 •山村美矢子:麻生祐未:有馬稲子
 •下条秋子:伊藤かずえ:?


 地方の深夜番組というのはいったいどんなものか、他県の人からはなかなかうかがいしれないものであろうが、まあ、だいたいにおいて『タモリ倶楽部』並にまったりとしていて、しょーもないものである。今日から始まった新番組、『ポジTV』(「ポジティブ」と読むのである)、いきなり「リアル電車男を捜せ!」というイタイ企画。
 パーソナリティーのスザンヌちゃん(これがいかにもスザンヌって感じの風貌)というタレントさんが、例の天神の「メイドカフェ」に入り込んでメイドコス。そこのお客さんでいかにも「電車男」風な男の子を見つけて、「君には好きな子はいないの? 告白する気はない?」と余計なお世話を焼く。また、ここに集まってるやつらが見事なくらいに「アキバ系」なものだから、誰に声をかけても「彼女いない暦=実年齢」だったりするのだ。で、そのうちの一人、やせっぽちのメガネ君をゲットするや、天神近辺のオシャレな店を連れ回し、ン10万円の服を仕立てて、立派に「変身」させることに成功?する。ビフォー&アフターは確かにガラリと違う。つか、ビフォーがユニクロかなんかで買ったTシャツにくたびれたズボンだから、オタクは確かにファッションセンスはゼロに等しいのだよな。「美容院に生まれてこの方、行ったことがない」彼を、何とか「見られる」スタイルにして、いよいよ好きな女の子に告白させちゃおうという直前で「次回に続く」となるのだが、来週また見るかどうかは分かりません(笑)。
 本人には嬉しいのかなあ、始終ニコニコ(つか、ニタニタ)笑ってただけなんだけれども、ハタ迷惑なだけじゃないのか。まあ、よくわかんないね。


 マンガ、細野不二彦『ダブル・フェイス』8巻(小学館)。
 ストーリーについての話はちょっと置いといて、焼き鳥屋の奥さんで、カラオケ・バーのマスターとデキちゃって、旦那さん捨てて街金の借金も踏み倒して駆け落ちしようとするオバチャンの名前が「細木カズヨ」で、どう見てもその風貌があのヒトってのは、作者の細野さん、細木某に何か恨みでもあるのだろうか(笑)。
 小泉じゅんが「月影ファイナンス」に入社して一年ちょっと、という設定が語られるが、ということは、一応、物語の中の時間経過と現実の時間とはちゃんとリンクしているということのようである。けれどもそれだと、長期連載になった場合、キャラクターがどんどん年取っちゃって、絵柄との間にギャップが生まれることになりかねないけど、大丈夫なのかな。『ギャラリーフェイク』では結局フジタがサラを30過ぎまで手出しせずにほったらかすというヒドい状態にまでなっちゃったんだし。
 ともかく小泉じゅんはまだまだ新米で若い。天然ボケのドジ娘のようでいて、実はDr.WHOOの秘密に一番近いところにいる彼女が活躍してくれないことにはやはりこのシリーズは締まらない。彼女が初めて「対面与信(客が融資できる相手かどうか、値踏みすること)」に挑戦するのが巻頭の「小泉じゅん与信する!」であるが、要するに「与信」の面白さと言うのは、シャーロック・ホームズがワトスン博士に初対面で「あなたはアフガニスタンに行っておられましたね?」と推理する、あの醍醐味である。
 じゅんは結局、巣鴨店長や春居を出し抜くように、しかも本人はそんな自覚も全くなく、あっけらかんと「与信」を成功させてしまうのだが、こういうエピソードがDr,WHOOの「仕置もの」よりも面白いのは、シリーズとしてはちょっと困ることかもしれない。いやね、私ゃこのマンガはじゅんちゃんと巣鴨店長が好きで読んでるようなものだから。
 それにしても巣鴨店長、てっきり春居の正体も全部知っていると思ってたんだけど、Dr.WHOOとしての活動は知らされてなかったんだなあ。超真面目人間の店長が、「晴らせぬ恨みを晴らす」ためとは言え、「闇の取立人」としての春居の正体を知ったら、どんな態度を取ることになるのだろうかとか、そういうところも気になるんだけれど、そういう展開は今後あるのかな。巣鴨やじゅんがいつまで経っても春居の正体に気が付かないままというのも不自然なのだけれど。


 マンガ、城平京作・水野英多画『スパイラル 推理の絆』14巻(スクウェア・エニックス)。
 いよいよ次巻で完結、ミステリマンガだった昔が懐かしい本作だけれども、他の似たようなマンガとの差別化を計ろうとすると、どうしてもこんな風になっちゃうのかな。SFになりそうでなりきれなかったという印象もあるし、何より絵がヘタなのが最後までストーリーの足を引っ張ってたと思う。心理劇にアニメ絵は向かないよ。『デスノート』の小畑健くらいのリアルさがないとねえ。
 13巻で、清隆と歩のDNAが一致したということは既に語られていたから、この二人に残されていた「謎」に気付いた読者はたくさんいたと思われる。原作者自身があとがきで告白している通り、そのありふれた「真実」は、読者の興味を殺ぐには充分だ。仮にそのアイデアを一応は認めてやったとしても、今巻中の説明だけでは、あらゆる点が不明確で、とても「ああ、そうだったんですか」と頷けるものではないのである。
 けれども作者が覚悟の上であえてそのアイデアを志向したというのなら、さらにその先に「意外な結末」が待っていることを信じてみたいと思う。だいたいその「真実」が分かったからと言って、火澄がカノン・ヒルベルトをなぜ殺さなければならなかったのか、納得はできないし、歩が清隆に対峙しなければならない理由も未だに明確ではないのである。
 何となく説明不足のまま終わってしまいそうな気もするが、「必ずハッピーエンドになります」と作者は豪語しているのだから、ちゃんと「オチ」をつけてほしいと思う。

2004年10月04日(月) 読み飛ばしていい日記その2
2003年10月04日(土) 追加日記3/『少年名探偵 虹北恭助の冒険 高校編』(はやみねかおる・やまさきもへじ)
2002年10月04日(金) 前日の嵐/DVD『あずまんが大王【1年生】』/『HUNTER×HUNTER』15巻(冨樫義博)
2001年10月04日(木) 新番第3弾……いつまで続くのよ/『おとぎストーリー 天使のしっぽ』第1話ほか
2000年10月04日(水) 止まる息とふらつく自転車とドロドロと/『本気のしるし』1巻(星里もちる)ほか



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