この頃、同居人がオレンジページとレタスクラブを欠かさず買っている。 熱烈な愛読者とかそういうのではなくて、ただ帰りの電車の中で頭を使わずに見られる雑誌がそれら だったから買っているそうだ。 実は、車内で一度寝たらもう二度と目覚めない恐れがあるから、とにかく眼を覚ますモノとして雑誌が 必要らしいです。 細かい記事はダメ。眼が疲れて寝ちゃうから。難しいのもダメ。 それで、主婦雑誌ならなんとか起きていられるんですと。写真ばかりで読むとこないし。 雑誌の名前が違っても、広告まで寸分違わず同じだったりして、おかしいです。
昨日はオマケに「本の雑誌11月号」を買ってきていた。 なぜに? 理由は特にないらしいが…。 そして、その内容があまりにヒドかったので、ここに物申しておきたいと思った次第です。
昔チラリと見た印象としては、「本の雑誌」ってトンガった内容だったように思うのです。 椎名誠とおじさん仲間達でワイワイ作っているような、それでいて言うことはきちんと言っているような そんな雑誌ではなかったですか? それがね…。
雑誌の方針は、全く変わってないのかもしれません。 私の受け取り方が以前とは違うこともあるでしょうし。 それらを差し引いても、すっげーつまらん内容だった! ちょっと衝撃を受けるほどに。
11月号の特集は“本屋さんに行こう!”でした。 これがもう壊滅的に面白くない。いまどきネットで検索すれば、もっと面白い人物を探せるだろうに、 とても庶民的かつ毒のない人達ばかりの談話がまとめられているだけ。(身内ってこと?) “本屋さんにお願い!”という最も力が入るであろう記事なんて、“本誌読者18人の要望”ですよ? なんの意味があるのか? 仲良しノートじゃないんですよ? しかも特定の図書館や書店に対する“お願い”ばかりです。 そんなもんは、直接、店長や館長に手紙出せよ!と、突っ込まずにいられましょうか?
本屋で売っている雑誌の記事ですよ、これが! 信じられない幼稚さ。 初めて「ダ・ヴィンチ」という、書評というより、本の広告雑誌が出版された時も驚いたけれど、 あれはまだ“身もフタもない”という編集方針(かどうかは定かではないが、そう見える)があるせいか まだ見るところがあると思うのです。少なくとも“カタログ的存在”にはなっている。
「本の雑誌」11月号には、イライラする記事が多くてアゴ外れそうになるだけです。 特集はインタビューや座談会をまとめただけだし、他の連載記事にいたっては、ほとんどが“日記”で 占められているのです。 これで良いの? 良いと思っているのだったら、かなり厭。
結局、良い本屋にするためには美人の店員を置けとか、そんな意見を堂々と載せている。 そりゃぁ私だって相手が美人でなくとも、キレイな整った男女であれば嬉しいですよ。 だからって、それをこういう雑誌の特集で言うようなことですか? 店員の美醜が本屋の運命を左右するとでも言いたいのでしょうか? 「本の雑誌」って、そんなに薄っぺらい気持ちで作られているの?
署名記事にしても、覇気がない文章ばかりだし。 最近、私は大森望が嫌いになってきた。 「新刊めったくだガイド」のSF担当で入ってるんですが。 私の愛するキャラクター姉川孤悲をアンジェリーナ・ジョリー(映画「トゥーム・レイダー」ララ役) なんかと一緒にするな! というか、イメージ貧困すぎ! 他の本についても、私にとって耐え難い記述があったりして、怒りに包まれました。 いくらわかりやすいからといって、すぐにハリウッド“バカ”映画を引き合いに出さないで欲しい。 イメージは人によって違うものだし、それを自由に思い描けるところが、小説が持つ素晴らしい力だと 私は思うのです。 その力を、ありきたりのモノで押しつぶさないで欲しいのです。
ふぅー。なんか、思い出すだけで腹たつなぁ。 もう二度とこんな雑誌は買わんでよし、と心から思いました。 今後、あの人は「本の雑誌」で書いている、と聞いたら、かなり印象悪くなるに違いないです。 私が唯一信頼する翻訳者である風間賢二は、どこで書いていても認めるけれど、ね。 (ファンタジー・ホラー系の新刊ガイドを担当しているのです…)
ひとつだけ、この雑誌を読んで有用な情報がありました。 朝日ソノラマからハードカバーで神林長平の新刊が出るという、数行の文章。 もう出ているのかな? すぐに調べなきゃ!
|