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羽虫2 - 2003年03月08日(土) 「おはよー、双魔!ちゃんと起きてる?・・・あ、神無君もおはよう・・・あれ、イオスさん?」 いつもの時刻にいつものようにやってきた七海は、いつもと違う双子の様子に少し戸惑った。進級して以来、七海が神無の姿をしたイオスに会うことはほとんどなかったからである。 「おはようございます。七海さん。・・・この姿では、お久しぶりですね」 優美に微笑む天使の姿に、七海の頬が少し赤くなっている。どうやら、久しぶりすぎて、免疫が無くなってしまったらしい。その時、 「うー・・・七海ちゃん、おはよー」 少し低血圧気味の双魔が、おぼつかない足取りで後ろをついて来た。 「おはよ。双魔。えっと・・・神無君はどうしたの?」 「それが、私にもさっぱり。ずっと呼んではいるんですけど」 朝、目が覚めると同時に、イオスはその意識を神無に体表に押し出された。 イオスが慌てて声を掛けても、神無は奥深くに沈みこんだままで、返事すらない。イオスの声は神無に届いているのは分かる。眠っているわけではないのだ。 昨日から少し様子がおかしかった。周囲の人間には気付かない程度ではあるが。 もともと神無は、無口というわけでもないのに口数は少ない。話すのが億劫というのか、相手にダラダラと話しているのが、途中で面倒になってくるらしい。イオスの観察によると、何か言おうとはしているのだが、溜息1つで終わってしまうこともしばしばだ。 昨日の神無は、他の者から見ればいつも通りの「クールな神無くん」であったが、イオスには、最初から神無には周囲のことなど何も目に入っていないように見えた。 ・・・ソードの心ならいくらでも読めるんですけど。 同じ身体を共有し、四六時中、側にいるのにイオスには神無の心は全く見えかった。例えるなら、ソードが光と熱を放射していく太陽のように己の心をさらしていくのに対し、神無のそれは深い淵のような底知れない闇に隠されている。光すら届かない水底には己をも凍らせる厳しい冷たさを孕み、イオスには近付くことすら叶わない。 イオスは小さく息を洩らした。 「イオスさん?」 隣で並んでいた七海が首を傾げた。 「え、あ。何でもありませんっ」 「そう?私の話、面白くなかった?」 ・・・七海の話など何も頭に入ってなかった。 「いえ、そんなことはありませんよ。ええ!とても勉強になりました!そ、それでは、私の教室はあちらですので、ここで失礼しますね」 イオスは、早足で教室へ向かって行った。今は3人共、別々のクラスになっている。 「・・・テレビの話って、勉強になるのかしら?ねえ、双魔」 「うーん。人間界を知ることにはなるんじゃないのかなあ?一応、恋愛ドラマなんだし」 「えー・・・。でも、娘の好きな男を母親が取っちゃうような話だよお?」 「泥沼の人間関係を勉強するとか・・・あっ」 授業の合図の予鈴が鳴った。 「あ、双魔。今日の放課後・・・・いいかな?」 教室に向かう双魔に、七海が少し上目遣いに訊いた。 「うん、いいよ。今日はクラブには出ないつもりだったから」 「ありがと。」 七海はとっておきの笑顔で、双魔に手を振った。 それを笑顔で見送る双魔。でも、胸の奥が少し痛む。 「しかたないよね。ソードさんには誰も敵わないもん」 *************** わあ、メロドラマのようですね! 朝の登校風景です。・・・描写が何にも無いけど。 次は昼ご飯?それとも、さっさと放課後っすか? ...
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