イタロ日記

2006年12月23日(土) お婆さんの幽霊

年も押し迫ってきたが、アパートの下見に出かけた。

西荻とか高円寺に住んでみたいなとも思ってたけど、いざとなると知らない町での物件探しは億劫。家賃も安いし、今までの町でいいやと思い始めた。

とりあえず近所の不動産屋に手頃な貼り紙が出ていたので、そこに入ってみる。

ドアを入ると爺さん一人。
「あの〜2月中旬から入居したいんですけど」と切りだすと「まだ早い。」

「でも家賃と部屋の雰囲気をつかんでおきたいので、何件か見られません?」と聞くと、「今息子がいないので、鍵がどこにあるかわからない」

・・・じゃなんで開店してんだよ。

いい加減呆れたが、その物件ちょっと良さそうだし。。。
「じゃあ、とりあえず間取りのコピーもらえます?」って言ったら「コピーが温まるのに時間がかかる(電源入れて起動するまでと言いたいらしい)」

コピーの電源すら入れてねーのかよおおおおおお!!!!!!

この爺さん、ボケ老人ならいいんだけど、半端にスレてる。
こっちが居座ってると、どうも身の上話をしたくなったらしい。
「私は昔、ジャーナリストでね・・・」とか言いだした。

ジャーナリストが今やコピーも使えないと。そうですか。確かに昔はマジで新聞社の屋上に伝書バト飼ってたらしいですが。

「昭和35年からはここで不動産やってるんだが」
・・・一体ジャーナリストとして働いてたのは何年間だ?

「となりの建物でずっとやってたんだけどね。妻が死んで、こっちの新しい建物に引っ越して。」
この不動産屋、新築してからも、隣に古いのが残ったままになってたのだ。
うり二つの新旧の建物がずっとあるので、不思議に思ってた。

「隣の建物には、女房の写真がずっと飾ってあるんだ。周りはなんで壊さないのかと聞くけどね、女房がいるから壊さないんだよ。」

なんだかしんみりした話になってきてしまった。
このあたり、ジジイが客からもらった干イモを2人で食べながら話してる。

いい話なんだけどね、隣の建物、壁とかかなり傷んできて正直コワイんだが。う〜ん、気持はわかるけどなあ・・・あんまりそのままにしとくのは、逆に故人にとって良くない気もするぞ。

しかし部屋を借りに来たのに、爺さんの身の上話・干しイモ付き。
なんだか劇団ひとりのコントにでもありそうだ。

あいづち打つのも面倒になってきたので
「じゃあ、私が隣の建物に住んであげましょうか?奥さんと」
って言ったらジジイ苦笑い。
「アンタももう少し化粧したらキレイそうなんだけどねえ〜」

大きなお世話だ、クソジジイめ。


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