小説,Nさんお帰りなさいPerry's bar

5月31日締め切りの文学賞応募作品のラストシーンを、シャワーを浴びているときに思いつく。
大体私は入浴時に重要な決断を下す。いい感じだ。

ゼミ同期のFちゃんと渋谷で待ち合わせ。思わずストーリーを話してしまう。
「今から間に合うの?」、内容についても「難しいんじゃない」と言われたが、
あえて困難に挑戦するのだ。

大学ゼミの先輩で院生だったNさんが静岡での教員生活を終え、4月に東京に戻ってきた。
新たに教えるのは神奈川県平塚市のT大学。
Nさんの行きつけの店、下北沢の「Perry's bar」でお帰りなさいの会。

Nさんの教え子やら同僚やらが小さい店にぎゅうぎゅう詰め。立ち飲み。
Nさんが「先生」と呼ばれていて新鮮。私たちは「Nさん」か、下の名前を呼び捨てにしていた。
いつもは「ふえー」とか「ぎょぎょぎょ」とかやたらに擬声語・擬態語が多いのだが、
今日は普通の話し方。

しかしNさんの人の名前を覚える記憶力にはびっくり。
生徒の名前はもちろん、同伴者を連れてきて初対面の人が何人かいたが
全てフルネーム、職業まで他の人たちに紹介していく。新たに人が来る度に。
私のことは「今、充電中の桜井真理さん。彼女のホームページは面白いですよ。
僕はびっくりしちゃいました」と紹介してくれる。嬉しい。

私が卒業した高校出身の大学3年生が2人。
高1の時の国語の課題「80枚創作」について話す。
あれが出来たんだから、70枚だってきっと大丈夫。

テレビ局記者のK君はすっかり痩せていた。仕事と子育てが大変らしい。
ニュースにたまに登場するのを見ても気がつかなかった。
よく「テレビは実際より太って見える」と聞くが。
私は大学時代から彼の顔が好きだった。太ってかっこ悪くなるよりはいい。

1年先輩で広告代理店新聞局のHさんは大学時代中森明菜好きで少年隊なども得意、
「唄って踊れるゼミ代」と言われていたが、いまでも嵐、モーニング娘を踊るらしい。

しかし彼の特技はそんな甘いものではなかった。
まず歴史の年号をすごい勢いで列挙し始め圧倒された。
「オリコン」は創刊2号から全て保存。チャートの移り変わり、
歴代紅白司会者とトリの歌手名・エピソード、
大河ドラマの放映年度・タイトル・出演者までそらんじてみせる。唖然。
高知東生似のHさんが縁遠いのはこれのせいか?そういうのが好きな人もいるか。

深夜1時近くにお開き。須佐美君が車でFちゃんと私を送ってくれる。

今度の小説は須佐美君がヒントをくれた。
「じゃあ、その作品を誕生日プレゼントにしてくれよ」と言われ
彼の誕生日が「ゴミゼロの日(5月30日)」であることを思い出した。タイミングも丁度いい。
2001年05月19日(土)

抱茎亭日乗 / エムサク

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