試験に行くはずだったのに遅刻した。 とりあえず学校に着いて、しばらく辺りを散歩した。
彼が車を停めていた場所。 のぞいたけれど、見なれた車は停まっていない。 場所を変えたのかもしれない。
ちょっとさみしい気持ちになりながら そのまま坂を上って歩く。
彼の住む街まで歩いてみようと思った。 彼が見る景色を私も見てみたかった。 彼に会える奇蹟を願った。
歩いても歩いても、目的地にはつかなかった。 はじめて歩く場所は心細くて、さみしかった。
明け方近くに目を覚ますと ケータイに不在着信が表示されていた。 留守電に残されていた彼の声を聞きながら 思わずやわらかな笑みがこぼれた。
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