ほんとはキスしてほしかった。この前みたいにそっと抱きしめてほしかった。あなたとこんなふうに会えるのは今日が最後かもしれないのに。見なれた白いワゴン聞きなれた低い声いつものタバコの煙すべてが遠くなっていく。わたしの名前を呼びすてにする今となっては数少ない男の人。さみしいのは、季節のせいだけじゃない。前を向かなくちゃ。立ち上がらなくちゃ。・・・わかってはいるのだけれど。