電気が点いてた。 とりあえず生きて、無事にあそこにいるんだって、 ちょっと安心した。
バイトが終わって、 もうすっかり冷たくなった夜に、自転車をこいだ。 昼間、幸子に励まされて送った4通目。 返事はまたなくて、 理由を思いつけなくて、 彼女かな、という結論にゆっくり辿り着く。
試合は、今日終わったはず。 勝っても負けても、とりあえず何か返ってくるはず。 ここまで来ると、推測でしか考えられない。
自転車を、寺島の家の方向に曲げた。 怖がっている暇はなかった。 息を切らして坂を登ると、 寺島の部屋の電気が見えた。
よかった。居るんだ。 安心と共に、何故メールが返って来ないのか、更にわからなくなる。 またメールしてみようかとも思ったけど、 文章を思いつかなくて、何だか焦って、 ええいままよと、電話をかけた。 連絡が途絶えてから、3回目か、4回目。
出たら、何て言おうか。 「今大丈夫?」 「どうしてるの?」 「元気なの?」 頭が混乱してくる。 その間にも、電話は呼び出し続けている。
一体何が起こってるの? あなたはそこで何をしているの? 怖い怖い怖い。
息が出来なくなる。 倒れ込みそうになる。
ねぇ、何が、起こってるの? これからどうなるの?
「彼女出来たんだってさ」って、 また藤原から聞くなんて、私は嫌だよ?
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