ひとりびっち・R...びーち

 

 

8階のグリズリー - 2001年03月28日(水)

 桜の開花とともに悪化する体調。予想された事態ではあるのだが・・・。

 春休みダラダラヴァージョンの娘は、再びアキハバラへ。
 予約していたスチューデント版のFLASH5を購入しにお出かけだ。

 彼女が出かける間際に、東京12チャンネルで映画『グリズリー』が始まった。
 私はタイトルにだけは覚えがあったが、見たことはない。(たぶん)
 
 「おかーさん、どうなったか見といてね」

 と、娘が言い残して出たので、頭痛と戦いつつ何とか最後まで見たのだが、とにかく巨大で凶暴なクマが次々に人間を襲っては食うだけの映画だった。

 その後、少し眠ったらしい。
 そのときの夢である。

 ・・・・・・・

 凶暴なグリズリーがこの街に出没しているらしい。(あまりにもそのまんまだ)

 それを聞いて、出かける前に戸締りをしているのだが、そこは高層マンションの8階の部屋だ。(どうやらそこは実家らしい)
 どう考えてもクマだから、8階は大丈夫だろう、と、1箇所だけ窓を開けて外出する。

 場面は変わって学校の校庭、娘と二人、ふと見ると、遠くに見えている実家のマンション、その8階の庇にグリズリーがいる。(その階にだけなぜか庇がある)

 うわ、窓開けっぱなしじゃ、クマが入るじゃないか。大変だ!

 と、慌ててマンションに戻ると、やはりグリズリーが窓の外をうろついている。
 気づかれないうちに窓を閉めて、鍵を掛けようとするのだが、鍵が壊れていてなかなか閉らない。

 あと少しで閉る、と思った瞬間、グリズリーのツメが窓と窓枠の隙間にガチっと挟み込まれた。
 しまった、開けられてしまう。もうダメ、絶体絶命!!
 全身に冷たい汗が流れた。

 あれ? あれあれ??
 でも、よく見たら、このグリズリー、良くできた着ぐるみじゃないの?

 窓越しに、着ぐるみの頭をひょいとはずして出てきた顔は、知り合いのお笑いをやっているコンビ(現実にそんな知人はいない)のかたわれだった。

 「よっ、ひさしぶり〜」
 「あれ〜、こんなとこでなにしてんのぉ?」
 「そっちこそ、なんでこんなとこにいるんだぁ?」

 てなぐあいで、8階の窓の中と外で、世間話がはじまった。

 「最近、地道な芸はウケなくてさぁ、ムリな営業が多いんだよ」
 「ふーん、ずいぶん苦労してるんだねぃ」
 「そっちこそ、ずいぶん大変そうじゃん」
 「まあねぇ、お互い何かとツライってことかぁ」

 8階の窓からは、遥か遠くに稜線が見え、家が密集した町並が見える。
 ちょうど日も暮れかかり、着ぐるみの黒い耳の向こうに見える空は、薄いサーモンピンクになっていた。

 ・・・・・・・

 うら寂しい気分で目覚めたところに、娘が帰ってきた。
 買い物の支払いをするために預けたキャッシュカードと明細書も帰ってきた。
 明細書に記された残高は30円だった。
 グリズリーをかぶって営業できる身の上の方が、まだマシかもしれない。 

 
 


...




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