長い睫毛が上下に揺れるたび寒さの中で揺れていた冷たい月を思い出す吐く息が冬そのもので境界線など見つからないのではと思うできればその長い睫毛を持ち上げずにいてはくれまいか少しの間だけくちびるを貸してくれるだけでいいその柔らかさだけで私は冬を愛せるような気さえもするのだ冷たい冷たい月が浮かぶその真上の薄空を愛しく思えるように