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SS 春雷 -4- 「花祭」・・・・・tako   - 2003年04月12日(土)

不精だと思っていたゾロは、
この3ヶ月間、思ったよりは頻繁にメールを送ってくる。
ぶっきらぼうな一言だったり、仕事の愚痴だったり。
仮にもコイビトに送るんだから、もうちょっと・・と思わないでもないが、
あのゾロが『甘い一言』なんぞ囁いてきたら・・・
却って心配になっちまうから、生きてることが分かればそれでいい。

朝と、夜。
偶に気が向いた時。

オレとゾロが繋がってると感じる、唯一の時間。

なのに・・・
今日は沈黙を守り続ける、パールシルバーの携帯。




「今年は天候に恵まれて、入学式まで桜がもちそうですね。」
天気予報のお姉さんが明るく言ってたのは、たしか昨日のこと。
そう、入学式までは持ったみたいだ。
でも今日の雨。
時おり強風が吹き、季節はずれの台風のような雨が一日降り続き、
オフィスの窓から見える桜並木もすっかり精彩を欠いている。

そうだ! 今日は代休って言ってたか?
昼過ぎに思い出したゾロのスケジュールに、小さく納得。
久しぶりの休暇を睡眠不足解消に費やすコイビトの寝顔を浮かべて・・・
にわかに綻ぶ頬を、誰にも見られないように手のひらで擦る。

しょーがねぇヤツと思った瞬間、皮肉にも震えた携帯。




着信…15:20
『雨の中、花見。7時くらいに帰る。』



返信…15:25
『…誰と?』

オレじゃない・・・・・・誰かと?






届かない答え。

不安になったらキリがない。
離れていても大丈夫って、ずっと自分に言い聞かせてきた。
でも、なにかがぷつっと切れる瞬間って・・・
あるんだな。

「誰と?」なんて・・聞かなきゃよかった。




傘も持たずにオフィスを出て、窓から見ていた桜並木の下を歩く。
朝からの雨を含んで、重く垂れ下がる満開の桜。
歩く傍から濡れた花びらが靴に、肩に、髪に・・・
雨の所為、だけではない濡れた頬にも降りそそぐ。

遠くで光る雷が冬の終焉を告げ、不安をじわじわと確信に転換していく。



着信… 18:37
『付き合いだ』



もう、どうでもいい。

そしてオレは桜が嫌いになった。




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