2006年08月04日(金) |
酒の匂いと亡霊の気配。 |
一体如何したものだろう。 少し甘ったるい苺カルピスを飲みながら、 すでにお酒がまわって饒舌になったIを見る。
お酒は愉しく呑んでほしいと思うのだけれど。 年々、オヤジ臭くなってきているのは気のせいだろうか。
その昔。 酔っ払ったときのIはしきりに「愛してる」を口にした。 それ以外で、その単語を使うことは滅多になかったから、 私はあまり本気にしなかった。 今にして思うと、あのころは可愛かった。
それが如何なんだろう。
今、目の前のIは何やら人差し指を私に向けて、 大声で嬉しそうにご意見をして下さっている。 支離滅裂で、煩くて、 とてもじゃないけど「可愛い」モノではない。
前回、伝票を私の胸の間に挟みこんできて。 私の怒りを食らい。 しばらくおとなしいお酒の呑み方をしていたんだけどな。
ほら、今回も、言っちゃいけないところまで及んできてる。
・・・・疲れたな。
私が急に黙り込んだから、 やばいと思ったのか、酒が冷めたのか、 もうどっちでもいいけど、 先ほどまでのご意見を自ら覆していらっしゃる。 そんなに簡単に否定・肯定が入れ替わるのもすごいと思う。
構うのもめんどくさいときもある。 弁解するのも、アホ臭いときもある。
店から出て、エレベーターの中。 ふと気がついたら、立ったまま寝ていた。
いつもは、どんなに遠くても歩いて送るという。 だから今日も送るのだろう。
1階についた。 私が先に下りる。 Iが口を開く前に、 今日はもう遅いし、タクシーつかまえて帰るわといい残す。
店からIの家まで5分。 店から私の家まで20分。
夜の散歩が好きなはずなのに、 何故だか無性に泣きたくなって。 タクシー乗り場へ歩きながら、 至る所にYの亡霊に出会う。
私が勝手にしがみついている、思い出。
私だけが進むのを拒否している。 会いたい、会いたい、会いたい。
|
|