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2006年10月29日(日)     

何か聞きたいことがある。
何か云いたいことがあるの?と返ってくる。
そのタイミングに少し驚く。

手の繋ぎ方が定着した。
今までとは全く違う新しいやり方。
これが、身体の大きいAにはまる、私の位置。

始終、繋ぐ、右から左、左から右、
私の場所がいろんなところに泳ぐ。

むせ返るような人ごみで、
ふと、のどか乾いたな、と呟く。
ほかの人間には聞こえないような声。
実際に気が付かれた事は無い。

自販機で何かジュースを買おう。


ふと、目の前にミネラルウォーターのペットボトルが差し出される。
Aがさっき、買ったやつ。まだ十分冷えているそれは、少し汗かいて。


え、アタシ、声に出して云ってた?と、とぼけてペットボトルを受け取る。


気が付かれたことに、戸惑う。


手の甲にキスをされる。
どういう態度で返したらいいか解らないからおどける。
なんだかよく解らない、顔がとても熱くなる。


そういう表現は本当になれてないんだと。結局自白した。


別れ際、Aの手の甲が目の前に来て、私の唇に触れた。


キスだ、とAがはしゃぐ。




恋愛の優先順位が、あまり高くないと思う。
Aも私も、なんだかんだ仕事人間だ。
疲れたら寝るし、無理してまで遊ばない。


それでも、感情の表現の仕方はかなり違う。


Aはずっと抱きついたまま寝たいみたいだし、
私は背中を相手の身体に押し付けて寝るのが好きで。


ところ構わず抱きついたり、体に触れるのは私の癖だし。
ところ構わず、ケツを触るのがAは好きみたいだ。


アホな奴らだと思う。


すこしづつ、Aに我侭を言えるようになった。
タイミングを逃さずに言葉を発せられるのはすごいと思う。


キスが好きなら、いくらでも。









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照れた時は、照れたと云えばいい。
嫌なときは、嫌だと云えばいい。

かんたんなこと。

ああ、多分、君に執着が出てきたんだなと思う。


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