transistasis
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2000年10月31日(火) ハプティックインターフェイス

NHK教育TV「ETV2000」で仮想現実をテーマにした特集を観る。
解剖学者の養老猛司がコメンテーターとなり、人型ロボットを開発した学者と対談していた。
その中で人間の脳など何万年前から生物学的構造は変わってないのに、旧石器時代と同じ脳で高度なテクノロジーを扱っているというコメントがあった。
所詮、我々の知っているものは自分の脳だけ。
その脳が感じているモノだけがすべて。
だとするとこの文明さえ実は仮想現実ではないかと。
サルが弱肉強食の掟に耐えかねて、自ら造り出した妄想に逃げ込んだ結果が人類文明だとすれば、野生の掟に生きる他の類人猿からすれば人類の繁栄など所詮仮想現実に過ぎないんだと。
科学技術もまた仮想現実だとすれば、それに支えられている全てのものは「虚構」に過ぎぬはず。
だがその「虚構」が現実として存在している。

自分の脳を磁場計測し、ハプティックインターフェイス(ヘッドギアみたいなもの?)で完全にモニターし、それをデジタル信号に置き換え、他人の脳にシンクロさせれば、究極のコミュニケーションが可能だという。
一種のテレパシーのようなものか。
人間の脳は五感と直結し、手の感触も含めてその刺激により発達してきたと言う。
その五感を脳に伝える、目、耳、鼻、手足、三半規管が感じる信号を人工的に制御シュミレーション出来れば仮想現実はその者にとって現実となる。
そもそも仮想現実なる言葉は相対的なもので、仮想現実にリアリティーがあれば本来現実であるはずの世界が仮想となる。
どちらが真理なのかという疑問はナンセンスだ。

「人工脳は電源を落とせばすべてクリアされる。いくらでもやり直すことが可能だが人間の脳は途中でクリア出来ない。クリアする時は死ぬ時だ。」
と養老氏は語っていた。
魂とはなんぞや?
電源の切れない思考する存在?
それはどこから来てどこへいく?
その魂の創造者を人は神と呼称する。地球がその魂の創造主とすれば地球が神か?
大地の掟から解き放たれ、人の創りし仮想現実に真理を求めれば、今度は人が神となるのか?
否、その人を創りし環境を維持してきた地球(ガイア)そのものを制御するシステムを司る存在があるとしたら、それこそが真たる創造主だ。
ガイアという魂の座。
「ガフの部屋」を創った真たる創造主。
その創造主が今度は人間に新たなる魂の座を創らせている。
「人類補完計画」
不要な身体を捨て、あらたなるステージに魂を昇華させること。
恐竜が鈍重な身体を捨て、鳥に進化したように。
サルが弱肉強食の掟から解き放たれ、道具を手にし、文明を築き上げたと同じように。
仮想現実がやがて現実に置き換えられる時、一つの「進化」が成就する。
仮想現実を求め始めた瞬間から我々は新たな世界へ脱皮しはじめるのである。
そのための触媒。
それが『超越した存在』と呼ばれるモノ。
それを手にすることが進化を受け継ぐ者として真の創造者から生き残る権利を与えられるのだ。


絶望皇太子