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2000年12月15日(金) 神への道

この頃、やたら20世紀に起こった諸々のベストを決めようとする企画が氾濫している。
だがいったい、今生きている人間がこの20世紀をどれだけ振り返ってその真価を理解できるというのだろう?
そもそも、その時期に生まれてもおらず、ましてや当事者でもない者が伝え聞いたことだけをとって20世紀ベスト云々を決めること自体、無理がある。
一方で、この100年を通せばたいした出来事ではないのに、たまたま近年に起こった事象を20世紀のベストに入れてしまう滑稽さが目立つ。
だが、無理を承知で20世紀を語るとすれば議論する余地はどこにもない。
すでに結論は出ていよう。
・・
20世紀前半の二つの世界大戦。
その人類の闘争の結果としての核兵器とアポロ計画。
破壊と創造、そしてその礎となった無数の人柱。
20世紀はこれ以上でもないしこれ以下でもない。
1970年以降の出来事などその余韻でしかないし、今、生きている人間が20世紀を振り返る資格もない。1940年から1945年の5年間と1995年から2000年の5年間を比べてみよ。
これを同じ20世紀として比べられるというのか?
同じ5年間でもそこに生きた者達の魂の燃焼度は雲泥の差だ。

人類が月に一歩を標した時がその頂点だったのであり、それ以降、人類の文明は確実に衰退し始めた。
今世紀末は、全ての終わりの始まり。
人類はそれほど遠くない内に自らの存在を維持出来なくなろう。
少子化と生産人口の低下、巨大技術を維持建築していく人材と知識がどんどん失われつつある。
唯一自らを存在し続けるには、この行き詰まった生物としての肉体を捨て、魂を新たなステージへ昇華させる以外にない。
そう、ヒトゲノム計画による自らの生命としての設計図を完全に解読し、それをデジタル化することによって我々は新たなモノに進化しなければならぬ。
人類補完計画。
神への道。
その現実化のための闘争を次の100年から始めなければならない。
肉体に代わる新たなる魂の座。
第一先住民族が残したという『超越した存在』をサルベージして再生させ、魂を永久継承することが21世紀の命題となろう。
だがしかし、現実には、その流れは起こっていない。
むしろ、現状を固定し、現状下で生き長らえようと足掻いている。
だが、建設と発展を止めた世界に希望はない。
1901年当時、常識であった寿命の限界、病の克服、飢餓、貧困、知的財産等諸々のことが100年後の現在、いかに飛躍的に発展、改善されたか。
その理由は前途した通り。
科学技術革命のもと、人類がその持てるエネルギーを最大集約したからこそ、今日がある。
このままだと21世紀は歴史年表に何も記されない、ただ衰退していくだけの100年となろう。
20世紀前半の闘争の産物をただ反芻するだけで既得権益に縋り付き、過去の遺産を食い潰す者に未来は訪れない。
あるのは絶望だけだ。


絶望皇太子