ひぽこんコラム

2004年12月17日(金) ナオコーラはコカコーラ?

 セカチューだとか純愛だとか、意地悪そうな女作家じゃなくて本質的に意地悪な女作家だとか、そんなばっかりで日本文学。最近は新しいものに興味を持つということがとんとありませんでした。でもきのうの東京新聞の夕刊に「小説への旅」と題したエッセイを書いていた新人作家の山崎ナオコーラ。彼女の文章には久々にハッとさせられてしまいました。
 山崎ナオコーラさんは1978年生まれの26歳。私よりずっと若い女性です。写真を見ると、切れ長の一重の瞳で、利発そうな、お世辞にも美人とは言えないけど、でも作家顔の人。昔からいる、日本の頭の切れる女流作家の顔の系統だと思う。
 そんな彼女のデビュー作は『第41回文藝賞』を受賞した「人のセックスを笑うな」というものだそうだが、実はそれはまだ読んでないのでなんとも言えない。どうやら恋愛小説らしい。
 でもきっとそれ、面白いはず。だって「小説への旅」はすばらしいエッセイだった。どうすばらしいか?それは私は文芸評論家じゃないのでうまく言えないけど、そのエッセイの中で彼女が旅しているマレーシアの海岸の夕暮れに、私達も立たせてくれる。暮れなずむ夕陽を見つめながら、排気ガスの臭いをかぎ、恋人達が切ない思いを抱いている。そんな中をまどろむ山崎さんと一緒に旅をさせてくれる。と。ここまでだったら彼女もまぁ適当にうまい作家さん、ということになる。
 でも彼女は違う。そこで彼女は小説を書こうとしていて、そこへと気持を高め、持って行こうとしているのだ。何かを作り上げるために必ず通らなければならない、苦しくも高揚感があり、そしてわき目もふりたくない(でもふっちゃうんだけど)気持を描き、そしてそれを私達にも感じさせてくれる。その小説を書く旅へ、小説なんて書かない私達も連れて行ってくれるのだからすごい。
 文章は端正で無駄がなく、とても読みやすい。何1つ小難しい言葉など使わず、正直で一生懸命生きていた人なりの暖かさがある。観察眼というよりも、温かく人を見つめてきた目を持つ人だと思う。
 と。褒めちぎったけれど。でもなぁ〜。どうしてだ?どうしてんだ、ナオコーラ!なぜナオコーラなんだよあおおおおおお??私には唯一このペンネームが解せない。文藝賞の審査員の先生方はこの名前を絶賛!だったらしいが、私には「えっ?」って感じ。だってこれ、文学的な名前?私にはコカコーラにしか思えないもん。コカコーラ=アトランタ、ジョージア州。あっ?風と共に去りぬをねらった?ちがうだろおおおお???頼む。変えてくれ。ナオコーラはイヤです。と。単行本も買わずに言う私。説得力ナシ。(と。久々に本について書きましたね。かつて大昔、和田はミュージック・ライフで書評を担当しておりました。何年も。懐かしいと思い出したでござりまする)
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