ある音楽馬鹿の徒然カキコ♪...みゅう太

 

 

謝肉祭 - 2003年09月29日(月)

シューマンの「謝肉祭」というピアノ曲、
私は大好き。


シューマンのピアノ曲はみんな好き。

シューマンって人はそれまでの先輩たち
モーツァルトやベートーヴェンやシューベルトたちとは少し変わってて、
彼らが交響曲だとか、ソナタだとか、構成のキチッとした音楽を最初から志向していたのに比べ、
シューマンは若い頃から文学的、散文的な志向を持っていて(この人は批評家でもあったくらいだ)
大いなるイマジネーションをもって、幻想的な物語を「語る」ような音楽を最初から書いていた。
特に初期に、ピアノ曲の傑作、例えば「トロイメライ」や「パピヨン」なんかが集中しているのだけど、「謝肉祭」もそのひとつ。


様々な情景が色とりどりに表れては、消え、
威風堂々と、情熱的に、また静かに瞑想し、
楽しくもあり、凶暴でもあり、またうっとりと夢見るようでもあり、そして美しい。


昨日、その「謝肉祭」の素晴らしいCDを買った。
こないだ4月に初めてナマで聴いた、静かなる巨匠ネルソン・フレイレの演奏。


「謝肉祭」はあんな名曲なのにナゼかいいCDがない。
もっとも、これは私の思い入れが大きすぎるせいかもしれなくて、
単に私が気に入らない、というだけか。


もちろん色んな名手、大家から若い人までこの曲をレコーディングしている。
例えばラフマニノフ。
この演奏は凄い。
以上な迫力と濃密感がなんともいえないが、いかんせん録音が古すぎて
針音の向こうで音楽を聴いているみたいでなんとも歯がゆい。

それから私の好きなケンプ。
これが良いんだ。
しみじみとした広がりのある幻想味が素晴らしい。
ドイツ人っていうのは元来こういう素朴なロマンティックな民族なんだな〜
とホッとする。
しかしこの巨匠は今度は技術がいかんせん足りない。
70歳で録音、って歳のせいもあるだろうが、この人は若いときから
指の早くまわる人じゃなかった。
聴いてて「ガンバレ〜〜〜!!!おじいちゃん!」といいたくなるくらい
ヨッコラヨッコラしている。

それから去年でたキーシンのCD。
これは鮮やかだ。
こんなに弾ける人、今は他に誰がいるんだ?というくらいすごい。
音楽も十分つまってて、周りの凡百というピアニストを圧倒している演奏だ。
…しかしこれはこれでは今度は「なんだかシューマンはどこへ?」という感じが聴けばきくほど強まる。
このCDはレコード・アカデミー賞もとっていたが、私には何だかピンとこない。
その美しさ、鮮やかさたるや異常なくらいなんだけど
そこで終わり、って感じがどうしても私には拭えない。


あと私が好きなのは、そして一番聴くのが南米の大家
ブルーノ=レオナルド・ゲルバーのCDだ。
全てがバランスよくあって、とってもいい。


しかし、ようやくフレイレのCDを聴いて
「これぞ私の決定盤!!」
と狂喜、感動だ。

鮮やかさや技術ではキーシンの演奏ですら足元に見下しているほどの凄さだし、
幻想的、情熱的、誠実。
なによりもこのピアニストの魂のド真ん中から真っ直ぐに音楽がふきだしてきているのが
手にとるようにわかる。
頭で考えるより先に、本能的に心から音楽があふれ、
心の動きに微妙に反応するが如く、音色が万華鏡のように変わっていく。


こんなにピアノのCDで感心・感動させられたのは久しぶりだった。


ネルソン・フレイレは地味な巨匠だが、
知ってる人みんなに「ピアノ界の至宝」として尊敬されているのは
まったくもって納得なのである。





P.S 
ところでBBSがしばらく前に突如消えうせ、何度も問い合わせているのに一向に返事がないんです。
新しいBBSをレンタルするか、また開設しますので
しばらくお待ちくださいませ。



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