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スイス旅行記 その2 - 2004年07月08日(木) いや〜暑いっす…しんどい。 爽やかなスイスが懐かしい。。。 さてスイス旅行記、 めぐったところをひとつひとつ書いていこうかと思いましたが やっぱ、やめた。 スイスを旅していて、思うことがたくさんあったのだけど それが時間がたつにつれて、大きないくつかにまとまってきた。 今日は、まずそのひとつ 「音楽馬鹿とスイス」。 前回、ユリア峠の信じられないような自然の姿に感動したことを書いたが マッターホルンでもシャモニーでも、 氷河特急(という山々の中を抜けて標高1000メートルから3000メートルまで走る名物列車がある。)から見る景色でも それぞれ違いはあっても、とにかくみな素晴らしい。 そしてそのどこにいても思ったこと。 「ここでホルンが吹きたい。」 ホント、バカである。 アルプスだからホルン? いや、でもこれはまごうことなき、私の思い。 どこに立ってもホルンが響いていそうな気がするのだ。 アルペンホルンでもフレンチでもナチュラルでも構わない。 とにかくホルン。 かねがね私は感じずにはおれなかったのだが ブラームスの交響曲第1番の第4楽章の、あの有名なホルンが鳴り渡るところ (重々しく苦渋に満ちた序奏が終わり、このホルンの音によってすべてが晴れ渡る!) とか ウェーバーのいくつもの序曲にきまって登場する、あの夢幻的なホルンとか きまって「ああ、これがアルプスなのだな…。」と感じてきた。 どうしてだかはわからない。 ハイジなんかを見てそういうイメージが刷り込まれたのか? 人間のもっと心の深層部分、無意識部分にそういう記憶が普遍的に組み込まれているのか? なににしても ヨーロッパの作曲家が、ホルンを使うイメージがアルプスにある (…ってえらく単純な言い方ですみません) というのを肌で確信した次第。 それから山沿いの草原に放牧されている牛たち。 この牛たちみんなカウベルをつけている。 クヮラン、クヮラン、ガシャガシャ。 日本の牛とはだいぶ違う。 どことなく優雅な感じがする。 で、カウベルといえばかなりの音楽好きなら マーラーの交響曲のことを頭に浮かべると思う。 特に第6、第7交響曲。 これも私、どういうわけか、 マーラーがカウベルを使う箇所を初めて聴いた時から 「この音を使う時、マーラーは青々と緑の広がる、牛のたくさんいる牧場、そういう牧歌的世界を夢見て憧れているのだ。彼の育ったボヘミアの大地を懐古しているのだ。」 という思いを強く感じてきた。 そしてその音楽は私にそうしたイメージを強く喚起させた。 これもまた、こうした情景を目の当たりに見たことで その直感は正しいのではないか、と 確信せざるをえなくなった。 もうひとつはチューリヒにあるチューリヒ・オペラ。 ここには結局行けず、何もみることができなかったのだが 私たちがスイスに滞在している間、ここはチューリヒ・オペラ祭の真っ最中だった。 このオペラ座のことも音楽ファンならよくご存知と思うが、 現在、オーストリアの素晴らしい若手指揮者、フランツ・ウェルザー=メストが音楽監督をし、 かの現代きっての鬼才・巨匠ニコラウス・アーノンクールが常連として出演している ヨーロッパでも今、最高に元気のいいオペラ座だ。 (最近NHKでもここのライヴがよくオンエアされる。この間やっていたベルクの「ルル」など、とても素晴らしかった。) …と音楽ファンの間ではそんな認識のはずだが チューリヒの街を歩いていても、オペラ座の場所がよくわからず 街にも「オペラ祭」を宣伝するようなポスターや旗なども見当たらない。 レストランの入り口でやっとひとつポスターを見つけたが 要するにあまり盛り上がっていないのだ。 こういう扱い、東京の状況とあまり変わらないではないか。 もちろん、これだけの時間歩いただけで何がわかる、と怒られそうだが ちょっとがっかりした。 今やヨーロッパといえどもクラシックは前途多難とみえる。 ...
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